【調理用語 フランス料理】「ルヴェ・レ・フィレ」— 魚を三枚におろす、魚処理の中核技術
定義
ルヴェ・レ・フィレ(Lever les filets):魚を包丁で切り身(フィレ)にする。lever(剥ぎ取る)+filet(切り身)で、「骨と皮から身を剥ぎ取る」作業です。日本語の「三枚おろし」とほぼ同じ工程を指しますが、フランス料理では頭とあらを残したまま上身2枚を外すのが基本で、カレイやヒラメなどの平魚では5枚になります。
フランス語の正式スペルと発音
Lever les filets [ルヴェ・レ・フィレ] – 動詞lever+定冠詞les+名詞filetの複数形。leverは「持ち上げる、(面から)剥ぎ取る」、filetはラテン語filum(糸)に由来する「細長いもの」→「切り身」。切り身にすること自体を指す動詞が「fileter(フィルテ)」、専用の薄刃包丁は「couteau à fileter(クトー・ア・フィルテ)」と呼ばれます。牛フィレ(filet de bœuf)の「フィレ」と同じ語源で、マクドナルドのハンバーガーの商品「フィレオ」も同じです。
語源 / 歴史
ルヴェ・レ・フィレ:昔のフランス料理店は魚を丸ごと仕入れ、厨房でその日の分をおろしていました。毎朝必ず通る工程であり、料理人養成の基礎技術のひとつとされています。魚の下処理の流れとしては、アビエ(下処理・掃除)→ルヴェ・レ・フィレ→デザレテ(小骨抜き)→パレ(形を整える)→ポルショネ(個分量に切り分ける)という順番で進みます。
実際の厨房での使い方
例文① 「鯛、アビエしてね。エカイエ(鱗を引く)、ラヴェ(洗う)、エポンジェ(拭き取る)してからルヴェ・エ・フィレね。デザレテまでよろしく。」
→ 頭を落とした鯛の背ビレの下から刃を入れ、背骨に沿って尻尾に向かって一気に引き切ります。ポイントは長いストロークを1回で通すこと。何度も往復すると身が壊れて食感が落ちます。「切る」のではなく、骨から「剥がす」意識がすべてです。
例文② 「カレイは5枚になるから、胴体の中心にある背骨に包丁を入れ左右に開く感じでルヴェ・レ・フィレ」
→ 平魚は頭と内臓を取ってから身を4枚に。丸魚と平魚では包丁の入り方がまったく違うため、まず魚の構造を見てから刃を置きます。
調理の際のポイント
- 包丁はしなる薄刃を選ぶ — 三徳や出刃での代用はあくまで最終手段。フィレットナイフ(フィレドソール)の「刃先で方向を変えられるしなり」があるからこそ、骨を傷つけずに一筆書きで剥がせます。
- 刃は中骨に「当てて」進める — ストローク中に骨を感じるのは正解です。その音が消えたら角度が落ちて身を削っている合図。手首の角度を骨に密着させ続けます。
- 長いストロークを1回で — 往復するたびに身は壊れます。できれば少ない回数でさばきましょう。「切る」ではなく「骨の上を滑らす」意識で。
- 左手は押さえず、添える — 身を強く押さえると繊維が潰れて水分が出ます。位置を示す程度の力で、テンションをかけないのがきれいな仕上がりの条件です。
- ポワレ用なら皮は残す — 皮目付きの上身で外し、焼く段取りに。剥がした皮はパリッと焼いてチップスに再利用できます。
| 用語 | 対象 | 道具 | 工程での位置 | ポイント |
| ルヴェ・レ・フィレ(Lever les filets) | 鯛・スズキなど丸魚/カレイ・ヒラメなど平魚 | 牛刀、出刃、フィレットナイフ(フィレドソール。しなる包丁 | アビエの後、デザレテ・パレの前 | 長いストロークで1回切り。丸魚は3枚、平魚は5枚。切るのではなく剥がすイメージ |
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