エカイエ
スキルを伸ばす

【調理用語 フランス料理】「エカイエ」— 魚のうろこを引く、下処理の第一歩

#世界の厨房辞典

定義

エカイエ(Écailler):魚のうろこ(エカイユ)を削ぎ落とす下処理。日本語の「うろこを引く」「鱗取り」にあたります。鱗の生え方に逆らう——つまり尻尾から頭に向かって——削ぐように落とすのが基本で、水を張ったバットやシンクの中で行うと鱗が飛び散りません。鯛のポワレのような魚料理の下処理では、最初に通る工程です。

フランス語の正式スペルと発音

Écailler [エカイエ] – 動詞。écaille(エカイユ=うろこ、甲殻)+動詞化の接尾辞-er。鱗取り器は「écailleur(エカイエール)」です。また、名詞の「écailler」は牡蠣などの貝を開く人・貝売りの店をも指す言葉で、貝を開くこと自体も「écailler」と言います。

語源 / 歴史

エカイエ:écailleは古フランス語を経てゲルマン語源とされ、英語のscale(うろこ)と同系の語です。丸ごと魚を仕入れていた時代のフランス厨房では、朝の仕込みはまずエカイエから始まりました。また鱗は鮮度の物差しでもあります。鮮度の高い魚は鱗が硬く密着し、鮮度が落ちると鱗が浮いて手でこするだけで剥がれます。

実際の厨房での使い方

例文① 「鯛、エカイエから。水を張ったバットの中でやれば鱗が飛ばない」

→ 尾の方から頭に向かって、鱗に逆らう方向に削ぎ落とします。ヒレの付け根や腹の縁は残りやすいので、仕上げに指で触れて確認します。

例文② 「エカイエ終わったらまな板は洗って殺菌して、新しいのに変えておいて」

→ 鱗の付着面には菌が多く、そのまま調理編に進むと衛生リスクになります。エカイエの後はまな板・包丁を洗い替え、触る道具も交代させるのが基本です。

調理の際のポイント

  • 水中かポリ袋の中でやると鱗が飛ばない — 鱗は壁や天井まで飛びます。水を張ったバットの中、最低でもポリ袋を開いた中でやるのがおすすめです。
  • 尾から頭へ、必ず逆らって — 鱗の生えた方向に削ぐと刺さるだけで落ちません。斜め後ろ向きに構えて、「削ぐ」のではなく「掻く」感覚で。
  • ヒレの付け根と腹の縁を仕上げで確認 — ここが一番残ります。指で尻尾から頭へ一撫でして、ザラついたら残し。エラ蓋の縁も忘れずに。
  • 終わったらまな板を洗い替える — 鱗には菌が多く、アビエの中でも特に汚染度の高い工程です。まな板・包丁・手を洗い替えてから、ヴィデとルヴェ・レ・フィレに進みます。
  • 鮮度チェックを兼ねる — 手で鱗をこすってポロポロ剥がれるようなら鮮度落ち。引き受ける前に一目で判断できます。
用語対象道具工程での位置ポイント
エカイエ(Écailler)鱗のある魚全般(鯛・スズキ・ヒラメなど)エカイエール(鱗取り器)/包丁の背下処理の最初、アビエの中でヴィデ・エバルベと並行尾から頭へ逆らって削ぐ。水中かポリ袋で鱗の飛散を防ぎ、終わったらまな板を洗い替え

腕を上げる一番の近道は、いろいろな厨房を見ること。

用語を知ることも、その一歩。この辞典で覚えた言葉は、次の現場で号令として耳に入ってきたとき、初めて身になります。CHEFLINKには、全国の厨房をスポット勤務で知れる仕組みがあります。言葉と経験を重ねながら、腕を磨いていく——その現場探しに、ぜひ使ってください。

▶️ CHEFLINKのアプリをダウンロードする

山中 幸夫
監修 山中 幸夫

フレンチシェフ。ラマンディエドムージャン、グレイ ダルビオン、ラタントクレールといったフランスやスイス、ロンドンの複数の星付き店で5年半の海外修行。帰国後は有名フランス料理店のシェフを歴任し、渋谷松濤にて幻の尾崎牛を扱うBistro eightのシェフとして活躍した後、フリーランスとして独立。シェフリンクではスポットワークを中心に都内の店舗や沖縄から北海道まで全国で活躍

記事一覧を見る
RELATED ARTICLES 関連記事

CHEFLINKならSNS機能で
全国の料理人とつながれます。