シュック
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【調理用語 フランス料理】「シュック」— 鍋底にこびりつく”旨味の焦げ”の正体

#世界の厨房辞典

定義

シュック(Suc):肉や魚、香味野菜を焼いたときに鍋底やフライパンにこびりつく茶褐色の焦げのこと。ただし単なる焦げではなく、メイラード反応と焦げ茶変によって生まれた旨味エキスの結晶。フランス料理では”ソースの種”として扱われる、極めて価値の高い調理副産物。

フランス語の正式スペルと発音

Suc [シュック] – 名詞(男性形)。「果汁・エキス・樹液」が本来の意味で、料理界では「鍋底の旨味の焦げ」を指す。複数形は “sucs”。末尾の “c” は発音するため「シュ」ではなく「シュック」と読むのが正しい。料理用語としては “sucs de cuisson”(シュック・ド・キュイソン=調理のシュック)という表現もよく使われる。

語源 / 歴史

シュック:ラテン語 “sucus”(樹液・果汁)に由来。中世フランス語では植物や果実の絞り汁を意味していたが、19世紀の古典フランス料理書において焼き調理で鍋底に生じる旨味成分を指す専門用語として転用・定着した。エスコフィエは著書の中で”sucs precieux(貴重なシュック)”という表現を用い、これをいかに水分で回収するかがソースの品質を決めると強調している。

実際の厨房での使い方

例文① 「フライパンの底にきれいなシュックができたら、赤ワインでデグラッセする」→ 肉を焼いた後、鍋底に茶褐色にこびりついた層がシュック。この状態を見極めたら、水分を加えて煮溶かすタイミング。

例文② 「シュックを黒く焦がしてしまうと、えぐみが出てソースが台無しになる」→ シュックは”焼きすぎ手前”が理想。濃い茶色までで火を止めるのが鉄則。厚手の鍋や銅鍋を使うと、シュックが均一に美しくできる。

用語形状理想の色主な用途ポイント
シュック(Suc)鍋底にこびりつく焦げ層濃い茶褐色〜赤褐色ソース、フォン、ジュのベース黒焦げはえぐみの原因。厚手の鍋が理想
山中 幸夫
執筆 山中 幸夫

フレンチシェフ。ラマンディエドムージャン、グレイ ダルビオン、ラタントクレールといったフランスやスイス、ロンドンの複数の星付き店で5年半の海外修行。帰国後は有名フランス料理店のシェフを歴任し、渋谷松濤にて幻の尾崎牛を扱うBistro eightのシェフとして活躍した後、フリーランスとして独立。シェフリンクではスポットワークを中心に都内の店舗や沖縄から北海道まで全国で活躍

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