ヴィデ

【調理用語 フランス料理】「ヴィデ」— 魚の内臓を取り出す、「空にする」が由来の動詞

定義

ヴィデ(Vider):魚や鶏の内臓を取り除く下処理。viderは「空にする、中身を出す」という意味で、フランス語では日常語としても使われます。魚であれば腹を開いてワタとエラを外し、背骨の血合いを流水で洗い流すところまでが一連のヴィデです。内臓とエラは傷みと臭みの元なので、仕入れたら早めにヴィデする——これが鮮度を保つ一番の近道です。

フランス語の正式スペルと発音

Vider [ヴィデ] – 動詞。vid(空の)+-er。ラテン語viduus(欠いた、空の)に遡ります。「vider un poisson(魚の内臓を取る)」「vider une volaille(鶏の内臓を取る)」のように、魚でも鳥でも使えます。

語源 / 歴史

ヴィデ:内臓は消化物と血を含み、菌の増殖も最も早い部位です。港から遠い都市の料理店では、水揚げ後に早く内臓を抜くことが鮮度保持の生命線でした。エラ(ouïes)も血と粘液を含むため傷みやすく、一緒に取るのが原則です。

実際の厨房での使い方

例文① 「鯛、ヴィデしてエラも取って。血合い流し終わったらエポンジェ」

→ 腹を開いたらワタを傷つけないように一括で外し、背骨沿いの血合いを流水で流します。ワタを破ると消化物で臭みが移るため、手早くが鉄則です。

例文② 「鶏もヴィデからね。詰め物の前に空にしておいて」

→ 魚に限らず、鶏や仔羊などでも同じ動詞が使われます。詰め物(ファルス)の前には必ずこの工程が入ります。

調理の際のポイント

  • ワタは破かず「一括で」 — 腹を開いたら、ワタとエラを繋がったまま傷つけず外すのが理想。破れると消化物が身に付いて臭みの原因にもなります。ワタの根元を糸のように束ねて引くのがコツ。
  • エラも必ず — エラは血と粘液が多く、最も傷みやすい部位。残したまま冷蔵すると、魚全体の鮮度落ちを早めます。
  • 血合いは流水で「流す」— 背骨沿いの血合いは、水流に沿って指で押し流す程度に。こすりすぎると身がボソつきます。
  • 汲み置きの水は使わない — 内臓の菌を含んだ水で締め直すのは本末転倒。流水で一気に、が基本です。
  • 「早いヴィデ」が鮮度の分かれ道 — 仕入れが夜なら当日中に、翌朝使う分はすべてヴィデしてから冷蔵。尾頭付きで提供する料理以外は、内臓を抜いた状態で保存します。
用語対象取り除くもの工程での位置ポイント
ヴィデ(Vider)魚・鶏など内臓(ワタ)・エラ・血合いエカイエと並行、アビエの中核ワタを傷つけず手早く。エラも一緒に取り、流水で血合いを流す

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山中 幸夫
監修 山中 幸夫

フレンチシェフ。ラマンディエドムージャン、グレイ ダルビオン、ラタントクレールといったフランスやスイス、ロンドンの複数の星付き店で5年半の海外修行。帰国後は有名フランス料理店のシェフを歴任し、渋谷松濤にて幻の尾崎牛を扱うBistro eightのシェフとして活躍した後、フリーランスとして独立。シェフリンクではスポットワークを中心に都内の店舗や沖縄から北海道まで全国で活躍

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