桂剥きする参加者
スキルを伸ばす

海外で活躍できる寿司職人になるために。職人の技術を評価する「グローバル寿司職人検定 Light」レポート

#イベント #和食

シェアダインは9月、東京・千駄ヶ谷の服部栄養専門学校で、「グローバル寿司職人検定 Light」が初開催されました。海外での就労やキャリア形成を目指す料理人11名が参加。「大根の桂剝き」「出汁巻き玉子」など、寿司職人としての基礎的な料理技術を披露しました。当日のようすをレポートします。

「グローバル寿司職人検定 Light」開催の背景

日本食への関心が世界的に高まるなか、海外の飲食市場では、日本食を担う料理人への需要が広がっています。一方で、海外の採用現場では、履歴書や職歴だけでは料理人の実技レベルや得意分野を把握するのが難しいという課題がありました。

握りや魚の扱い、包丁技術といった技能は、言語や職歴だけでは十分に伝わりません。その結果、料理人自身が持つ技能と、採用側が認識している技能とのあいだに、ギャップが生まれています。料理人の技能を実技評価で証明し、キャリア情報として残すことを目指し、今回の検定を開催しました。

開会にあたりあいさつする井出有希・株式会社シェアダイン共同代表

課題・評価観点

課題は、海外の寿司カウンターで日々求められる基本工程である「大根の桂剝き」「出汁巻き玉子」「鯵の卸し」「切り付け・握り」の4項目。さらに、全体を通じての衛生面や所作も評価しました。

検定する講師
参加者の技術を見る服部栄養専門学校の講師

採点したのは、服部栄養専門学校の講師陣。技術だけでなく衛生面や所作も含めて実技を見て、審査後には総評に加えて、一人ひとりに個別フィードバックを行いました。

課題仕様
大根の桂剝き高さ10cm・1m以上
出汁巻き玉子卵M玉4個・出汁100ml
鯵の卸し鯵400g
切り付け・握り8カン・シャリ200g
桂剥きする参加者
大根の桂剥き
鯵とだし巻き卵

結果は2週間以内に本人へ通知される予定です。あわせて、今回の検定の技能証明の結果をCHEFLINK上でバッジとして表示することを予定しており、海外事業者向け英語履歴書への反映も検討しています。

参加者の声

下谷 晃司 シェフ
服部栄養専門学校は、学生時代に入学したかった憧れの学校だったので、こうした形で評価いただけるのは、とても自信になります。今回の検定で自分の弱みを改めて見つめ直せたので、寿司職人として技術を上げていきたいです。

下谷シェフ
下谷 晃司 シェフ

糸井 萌 シェフ
今回の検定は、自分のできることと、まだできないことを知るきっかけになりました。もともとカナダで働いていましたが、帰国して和食スキルを磨いています。自分をブランド化するためにもスキルを磨いて、また戻りたいと思っています。

糸井シェフ
糸井 萌 シェフ

卒田 愛真 シェフ
ステップアップになると思い、検定に申し込みました。普段は和食の調理補助をしていますが、和食職人の高度な技を間近で見られてすごく勉強になりました。またこのような機会があれば、ぜひ参加したいです。

卒田シェフ
卒田 愛真シェフ

そのほかの参加者からも、「一人ずつフィードバックをもらえ、技術力向上に役立った」「自分の弱い部分を認識できた」「寿司職人を続ける自信につながった」などの声が寄せられました。

フィードバックを受ける参加者
審査後には総評に加えて、服部栄養専門学校の講師から、一人ひとりに個別フィードバックを行いました。

より多くの料理人が世界で活躍するきっかけに 服部百彦 氏

服部百彦氏(服部栄養専門学校 校長企画部 渉外・海外収益事業室長)

今回の検定では、現時点でできることと練習が必要な部分を、検定機関という第三者の目線で明確にお伝えできました。海外で通用するためには、まず日本で基礎の技術と知識を身につけ、世界にも優れる衛生意識もあわせて保ち続けることが重要です。今後ともシェアダインと連携し、このような機会を通じてより多くの料理人が世界で活躍するきっかけを作ることを目指しています。

服部百彦氏
服部百彦氏

「本物」が問われる時代に 山下春幸 氏

山下春幸氏(HAL YAMASHITA 東京 オーナーシェフ)

「検定」というと「落とすためのもの」と思われがちですが、当検定はそうではありません。現役で働く和食の職人が、服部栄養専門学校の基準で自分のスキルを確認し、足りないものを補うきっかけにしていただくための検定です。いまや日本食の技術を、ネットで世界中の人が目にすることができる時代。海外の日本食は量から質へ、「本物」が求められる段階に入りました。本当のスキルを持った人が海外へ出ていくことが、日本食の可能性を広げることにつながるはずです。

山下氏
山下春幸氏

料理人の技能が、評価される世界へ

シェアダインは今回の検定をもとに、講習会の開催や上位検定の創設などを検討していきます。将来的には、料理人が自身の技能を客観的に示し、その技能に応じた国内外のキャリア機会にアクセスできる環境を整えるとともに、海外の飲食事業者が必要な技能を持つ料理人と出会える仕組みの構築を目指します。

料理人の技能を、国境を越えて正しく伝えるーーー。CHEFLINKは、料理人の経験や技能をデータとして蓄積・可視化し、国内外のキャリアと採用をつなぐことで、日本の食文化と料理人の活躍機会を世界へ広げていきます。

検定のようす
執筆 Dining Trends編集部

料理人の毎日に効く知識と、次の一歩を後押しするコンテンツを届ける編集チームです。調理道具のリアルなレビュー、厨房で役立つ技術や用語、海外挑戦や独立のヒントまで、現場目線でわかりやすく執筆。プロにも料理好きにもわかりやすい記事づくりを大切にしています。

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