「人が採れない、辞めていく」——飲食店の採用現場は、いよいよ日本人だけでは回らない局面に入りました。しかし外国人採用は、在留資格の選定から入管手続きまで一歩間違えれば不法就労助長罪に問われるリスクを伴います。
この記事では、2026年4月の特定技能「外食業」新規受入停止を踏まえた最新の手続きフロー、ビザの取得に関する規定、禁止事項、必要書類・費用・回避すべき落とし穴を、飲食事業者向けに実務目線で整理します。
飲食店の採用難は、努力不足ではなくマクロ環境の変化によるものです。2025年時点で調理人の有効求人倍率は2.56倍、宿泊・飲食サービス業の離職率は26.6%、人手不足倒産は前年比プラス24.9%と過去最悪水準に達しています(厚生労働省・帝国データバンク)。
一方、出入国在留管理庁のデータでは特定技能「外食業」の在留者数が急増し、2026年4月には受入見込数の上限(5万人)に到達。同月13日以降、新規受入れは原則停止となりました。
制度活用を前提とした「早い者勝ちの局面」は終わり、既存在留者の獲得競争と、代替在留資格の使い分けが新たな主戦場です。関連論点は飲食店の人手不足を解決するには?原因と取るべき対策を徹底解説で詳述しています。
現場のリアルな声を知るために、株式会社シェアダインが運営するCHEFLINKでは、2026年3月に飲食事業者を対象とした独自のアンケート調査を実施しました。以下のデータは、現在経営層が直面している課題の複雑さを示しています。
Q10. 現在、貴社が抱えている人材全般に関する課題を教えてください(複数回答可 / n=328)

(出典:株式会社シェアダイン CHEFLINK 飲食事業者調査|n=328|2026年3月)
この結果から読み取れるのは、飲食事業者の課題が単なる「人手不足」という一語に留まらない事実です。
外国人採用の手続きは、どの在留資格で受け入れるかによって完全に異なります。まずは店舗の業務内容・雇用形態に合致する資格を特定することが、実務の第一歩です。
| 在留資格 | 従事できる主な業務 | 就労時間 | 2026年4月以降の取扱い |
|---|---|---|---|
| 身分系(永住者/日本人配偶者等/定住者/特別永住者) | 制限なし。日本人と同等に雇用可能 | 制限なし | 従来通り |
| 特定技能1号「外食業」 | 調理・接客・店舗管理 | フルタイム | 新規受入原則停止。既存者の更新・同分野内転職・2号移行は可 |
| 特定技能2号「外食業」 | 1号業務+熟練技能を要する管理業務 | フルタイム | 停止対象外。家族帯同・無期限更新可 |
| 技術・人文知識・国際業務 | マーケティング・通訳・経営企画等の専門業務 | フルタイム | 従来通り。ホール・皿洗い等の単純作業は原則不可 |
| 留学+資格外活動許可 | アルバイト全般(風営法関連除く) | 週28時間以内/長期休暇中は1日8時間以内 | 従来通り |
| 家族滞在+資格外活動許可 | アルバイト全般 | 週28時間以内 | 従来通り |
基準日は書類の提出日ではなく、入管庁が受付番号を発行した「受理日」です。海外呼び寄せ(在留資格認定証明書交付申請)、他分野からの変更、国内在住者の新規変更はいずれも原則不交付・不許可。他方、既存の特定技能1号の在留期間更新、同分野内の受入機関変更(転職)、2号への移行は引き続き可能です(出入国在留管理庁)。
ここからは「海外から呼び寄せる場合」を軸に、実務手続きを順序立てて整理します。国内在住者を採用する場合は「在留資格変更許可申請」に読み替えてください。
店舗のオペレーションを棚卸しし、必要スキル・日本語レベル・就労可能時間を明確化します。特定技能を狙う場合は既に日本国内で就労中の同分野人材への声かけが現実解です。募集経路は、登録支援機関・外国人特化型人材紹介・技能実習修了者ネットワーク・大学連携などを併用します。
面接時は志望動機と日本語レベルに加え、在留カードの原本を必ず目視で確認します。コピーや画像では偽造の判別ができません。確認項目は次の通りです。
労働条件通知書と雇用契約書は、日本語と本人が理解できる母国語を併記して作成します。給与・労働時間・業務内容・休憩・有給・社会保険加入の有無を明示することが、後日のトラブルと離職を防ぐ最大の予防策です。日本人と同一労働同一賃金の原則が適用される点に注意します。
海外呼び寄せの場合、企業側で在留資格認定証明書交付申請を管轄の地方出入国在留管理局に提出します。国内在住者の場合は本人による在留資格変更許可申請となります。
標準処理期間は1〜3か月。行政書士(申請取次資格者)に委託する場合の相場は5万〜15万円程度です。
企業側で用意する主な書類は、登記事項証明書・決算書・会社案内・雇用契約書・雇用理由書・受入機関概要書・支援計画書(特定技能)など。
本人側は履歴書・卒業証明書・技能試験合格証・日本語試験合格証・パスポート写しなどです。
COE交付後、本国の日本大使館・領事館で査証(ビザ)の発給申請を行います。発給後、本人が来日し空港で在留カードが交付されます。企業側は空港送迎、住居の賃貸契約、住民登録、銀行口座開設、携帯電話契約、生活オリエンテーションを支援します。渡航費・初期家賃等で10万〜30万円程度を見込みます。
雇入れ時と離職時に「外国人雇用状況届出」をハローワークへ提出することが労働施策総合推進法第28条により義務付けられています(特別永住者・外交・公用の在留資格を除く全外国人が対象)。雇用保険被保険者は資格取得届で兼ねられますが、被保険者に該当しない場合は様式第3号を翌月末日までに提出します。届出漏れや虚偽届出には罰則があります(厚生労働省)。
特定技能で受け入れた場合は、事前ガイダンス・生活オリエンテーション・公的手続同行・日本語学習機会の提供・相談苦情対応・定期面談など、義務付けられた10項目の支援を継続的に実施します。多くの企業は登録支援機関に委託し、月額2万〜4万円程度で運用しています。
採用初年度の初期費用は約80万〜140万円、ランニングコストは年間約30万〜60万円が目安です(給与本体を除く)。主な内訳は次の通りです。
在留カードの確認漏れや、資格外の業務に従事させた場合、事業者は3年以下の懲役または300万円以下の罰金の対象となります(入管法第73条の2)。特に「技術・人文知識・国際業務」で採用した人材にホール接客や皿洗いを主業務として指示することは典型的な違反例です。
留学生・家族滞在者のアルバイトは掛け持ち含めて週合計28時間以内。長期休業中のみ1日8時間以内かつ週40時間以内に緩和されます。シフト作成時の集計ミスが摘発の起点になりやすいため、他店勤務時間の申告制と月次点検を仕組み化します。
期限切れのまま就労させると本人は不法残留、企業は不法就労助長罪となります。全外国人スタッフの在留期限を一覧化し、3か月前・1か月前にアラートが立つ管理体制を構築します。
新規受入停止で選択肢が狭まった今、飲食事業者が採るべき打ち手は次の4点に整理できます。
いずれも即戦力化には数ヶ月を要するため、当面の欠員はスポット即戦力シェフの活用で埋め、確保した時間で外国人受入基盤を整える「重ね打ち」が定石です。
A. 現時点で解除時期は明示されていません。上限5万人の運用状況を踏まえ、政府が制度見直しを検討中です。既に外食業で就労中の1号者の更新・同分野内転職・2号移行は停止対象外のため、既存人材の獲得競争がしばらく続く見込みです。
A. 可能です。特定技能の受入機関要件(法令遵守・支援体制)を単独で満たすのが難しい場合は、登録支援機関に支援業務を委託することで対応できます。留学生アルバイトや身分系人材の採用は個人店でも障壁が低い選択肢です。
A. 現在は国内在住者の採用が圧倒的に早く、2〜3か月で就労開始できるケースが一般的です。海外呼び寄せは審査と査証発給を含めて4〜6か月以上を要します。
A. 特定技能1号「外食業」ではJFT-BasicまたはJLPT N4以上が制度要件です。実務上は、接客業務を想定するとN3相当が望ましく、キッチン中心ならN4でも運用可能です。
A. 30万円以下の罰金の対象となります。届出は雇入れ・離職ともに翌月末日までが原則です。2026年5月の厚生労働省指針改定で運用が厳格化されており、届出漏れの管理は必須です。
外国人採用は「制度を知っている企業」と「知らない企業」で成果に決定的な差が生まれます。特に2026年は特定技能外食業の新規受入停止という構造変化を挟み、既存在留者の獲得競争と代替資格の使い分けが同時に問われる年です。手続きの精度を上げ、在留カード確認・雇用契約・入管申請・ハローワーク届出の4点を仕組み化することが、リスク回避と定着率向上の両立に直結します。
とはいえ、外国人採用は最短でも数ヶ月のリードタイムを要します。目の前の欠員は、まず即戦力シェフのスポット活用で埋めながら、腰を据えて受入基盤を整える2段構えが現実解です。
「自店にとって、今すぐ外部人材を入れるべきか、それとも外国人採用に舵を切るべきか」を迷った際は、採用以外の多様な選択肢をワンストップで提供できるCHEFLINKにご相談ください。
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