キノコの煮方

【食材のトリセツ】キノコって沸騰したお湯に入れちゃダメ? — 旨味を引き出す温度管理

答え:沸騰したお湯はNG。水から加熱して60〜80℃を経由させると、グアニル酸(旨味)が最大化

「キノコを沸騰したお湯に入れると旨味が逃げる」——これは「半分」本当です。キノコの旨味成分「グアニル酸」は、60〜80℃の温度帯で酵素が働いて生成されます。沸騰したお湯(100℃)にいきなり入れると、酵素が働く前に熱で失活してしまい、旨味が十分に引き出せません。水から加熱し、ゆっくり温度を上げるのがベストです。

POINT

  • ポイント①:グアニル酸は60〜80℃で生成される:キノコに含まれる「リボ核酸分解酵素」が、60〜80℃の温度帯でRNAを分解し、グアニル酸を生成します。この酵素は100℃では失活するため、沸騰したお湯に入れると旨味が引き出されません。
  • ポイント②:鍋料理でキノコを最初から入れるのは理にかなっている:鍋料理では、まだ温度の低い状態でキノコを入れます。これはグアニル酸を引き出すために理想的な方法。沸騰前の鍋にキノコを入れ、じっくり温度を上げることで、旨味が最大化されます。
  • ポイント③:食感や香りを優先するなら高温もアリ:炒め物や焼きキノコなど、食感や香ばしさを優先する料理では、高温で一気に調理するのもOK。すべての料理で低温調理が必要なわけではなく、「旨味を引き出したいなら低温」と覚えておきましょう。

プロの技:キノコの旨味を最大化する

  • 出汁を取るなら → 水から加熱、60〜80℃を10分キープ
  • 鍋料理なら → 最初から入れて温度を上げる
  • 炒め物なら → 強火で短時間、香ばしさ重視
  • 乾燥椎茸の戻し汁 → 冷水で一晩戻すと旨味が最大に

料理トリビア

グアニル酸は1960年、日本の研究者・国中明博士が椎茸から発見しました。昆布のグルタミン酸、鰹節のイノシン酸に続く「第3の旨味成分」として、日本の出汁文化を科学的に証明しました。

北田清
監修 北田清

辻調グループ校フレンチイタリアン専攻の学部を主席で卒業。その後、同校のインストラクターとして勤務。新人フランス料理人コンクールのデセール部門で優勝。イタリアン業態の立ち上げやエリアマネージャーとしての居酒屋業態の直営5店舗と暖簾分け店舗の統括。10年間パスタ専門店のオーナーシェフとしても活躍。

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