飲食店営業許可の取り方|開業前に必要な許認可と申請手順を解説
独立を視野に入れるシェフにとって、営業許可は最初の関門です。本記事では飲食店営業許可の取得手順と必要書類、関連許認可までを一気通貫で整理し、独立後すぐ動けるよう実務情報をお届けします。
飲食店営業許可とは
自らの店を持ち、お客様に調理した料理や飲料を提供して対価を得る場合、食品衛生法に基づき管轄の保健所から「飲食店営業許可」を取得することが義務付けられています。
この許可なく営業を行うと、無許可営業として重い罰則(2年以下の懲役または200万円以下の罰金)が科されます。単に書類を出せば通るものではなく、施設の構造や衛生設備が基準を満たしているか、保健所の検査をクリアしなければなりません。
取得までの全体フロー
物件契約前の保健所事前相談
最も重要なのが、店舗の図面が完成した段階(工事着工前、できれば物件の本契約前)で、図面を持参して管轄の保健所に事前相談に行くことです。
保健所によって細かな指導基準が異なる場合があり、工事が終わってから「手洗いの位置がダメ」「シンクの数が足りない」と指摘されると、手戻りの改修工事に莫大な費用と時間がかかってしまいます。
工事図面の確認
事前相談で図面にOKが出たら、内装業者にその旨を伝え、基準通りに施工を進めてもらいます。居抜き物件の場合でも、以前の店舗が許可を取れていたからといって、現在の基準でそのまま通るとは限りません。設備が老朽化していないか、必要な区画が保たれているかの確認が必要です。
申請書類提出と現場検査
工事完了の約10日〜2週間前に、保健所へ許可申請書類を提出し、検査日の予約を取ります。検査当日は立ち会いのもと、図面通りに設備が配置されているか、お湯が出るか、冷蔵庫の温度計はあるかなどがチェックされます。問題がなければ、数日〜1週間程度で営業許可書が交付されます。
必要書類と費用の目安
申請には主に以下の書類が必要です。
- 営業許可申請書
- 営業施設の大要・配置図(厨房機器の配置や寸法が入ったもの)
- 食品衛生責任者の資格を証明するもの(手帳や調理師免許証など)
- 登記事項証明書(法人の場合)
- 水質検査成績書(井戸水などを使用する場合)
申請手数料は自治体により異なりますが、概ね16,000円〜19,000円程度です。
厨房・設備の主な基準
二槽シンクと手洗い専用設備
厨房内には、食材と食器を分けて洗えるよう、お湯と水が出る「二槽式シンク」が必要です。また、従業員用の「手洗い専用設備」はシンクとは別に独立して設置し、消毒液を備え付ける必要があります(L字型レバーやセンサー式など、手首や肘で操作できるものが推奨されます)。
換気・防虫対策
十分な換気設備の設置、ネズミや昆虫の侵入を防ぐ網戸やトラップ(排水溝の防臭・防虫設備)、清掃しやすい耐水性の床や壁の材質など、衛生的な環境を維持するための構造基準が細かく定められています。
同時に必要な関連許認可
食品衛生責任者の設置
1店舗につき1名、食品衛生責任者を置く必要があります。調理師免許や栄養士免許を持っていれば自動的に資格を満たしますが、持っていない場合は各都道府県の食品衛生協会が開催する講習会(1日)を受講する必要があります。
防火管理者/深夜酒類提供届出
収容人員が30名以上の店舗では、消防署への「防火管理者選任届」が必要です。また、深夜0時以降にメインでお酒を提供するバーや居酒屋などを営業する場合は、警察署へ「深夜酒類提供飲食店営業開始届出」を行う必要があります。
菓子製造業・そうざい製造業など
店内で作ったパンやケーキをテイクアウト専門で販売したり、卸売りをする場合は、「飲食店営業許可」とは別に「菓子製造業」などの許可が追加で必要になるケースがあります。
つまずきやすいポイントと対策
よくある失敗は、スケジュール管理の甘さです。保健所の講習会が満席で受講できない、検査の予約が取れずにオープン日が延期になる、といった事態を防ぐため、オープン予定日から逆算して最低でも1ヶ月半前にはアクションを起こし始める計画性が不可欠です。
まとめ
営業許可の取得は、独立開業に向けた事務手続きの入り口に過ぎませんが、ここをスムーズに乗り切ることで、肝心なメニュー開発やスタッフ教育に集中できます。将来のオーナーシェフを目指すなら、今のうちから厨房設備や法務の知識に関心を持ち、経営者としての視野を養っておくことが重要です。
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