飲食店の損益分岐点とは
独立を目指す

飲食店の損益分岐点とは?利益を残すためのポイントも解説

飲食店経営で最重要指標のひとつが損益分岐点です。本記事では損益分岐点の基本、計算式、FL比率との関係、業態別の目安、そして損益分岐点を下げて利益を残す5つの改善策まで体系的に解説します。

損益分岐点とは何か

損益分岐点(BEP:Break Even Point)とは、売上高と総費用が等しくなり、営業利益がちょうどゼロになる売上規模のことです。

これ以上の売上があれば黒字、下回れば赤字。「店を維持するために、最低いくら売れば良いのか」を一目で把握できる、飲食店経営の根幹となる指標です。

独立を考える料理人にとって損益分岐点は、料理の腕と同じくらい重要なリテラシーです。

日々の現場で「今日いくら売れたか」を肌感覚で持つことはできても、それが「黒字ラインを超えているのか」を即答できるシェフは多くありません。

開業前にこの感覚を身につけることが、店を10年続けるための最低条件と言っても過言ではありません。

飲食店の損益分岐点の計算式

基本的な計算式は次の通りです。

  • 損益分岐点売上高 = 固定費 ÷ 限界利益率
  • 限界利益率 = (売上高 − 変動費) ÷ 売上高

固定費とは、売上の有無にかかわらず発生する費用(家賃、リース料、正社員人件費、水道光熱基本料、減価償却費など)。

変動費とは、売上に比例して増減する費用(食材費、消耗品費、決済手数料、アルバイト人件費の一部など)です。

たとえば月固定費200万円、限界利益率60%の店舗であれば、損益分岐点売上高は約333万円。月売上が333万円を超えた瞬間から、はじめて利益が出始めます。

FL比率と損益分岐点の関係

飲食店経営でもっとも重視されるコスト指標がFL比率です。

FL比率は「Food(食材費)+Labor(人件費)÷売上高」で算出され、業界平均は55〜60%、優良店は50%以下に収まります。

FL比率を1ポイント改善するだけで、年間利益は数百万円単位で変動します。

FL比率の改善は損益分岐点の引き下げに直結します。

とくに人件費は「正社員=固定費」「アルバイト・スポット=変動費」と捉え方を変えるだけで、損益構造が劇的に変わります。

固定費部分を絞り込むほど、売上が減った月の赤字幅も小さく抑えられ、経営の安全性が高まります。

業態別の損益分岐点目安

業態によって原価構造はまったく異なります。代表的な業態の目安をまとめると以下の通りです。

  • カフェ・喫茶:原価率28〜32%、人件費率28〜32%、家賃率10〜12%
  • ビストロ・レストラン:原価率30〜35%、人件費率28〜33%、家賃率8〜10%
  • 居酒屋:原価率30〜35%、人件費率25〜30%、家賃率7〜10%
  • ラーメン:原価率30〜38%、人件費率20〜25%、家賃率5〜8%
  • ファインダイニング:原価率35〜40%、人件費率30〜38%、家賃率8〜12%

業態が変われば適正な客単価も席数も変わります。「自分が出したい店」が「数字として成立する店」かどうかを、業態別の数値で必ず突き合わせてください。

損益分岐点を下げる5つの方法

利益体質を作るためには、損益分岐点そのものを下げる施策が有効です。代表的なアプローチは次の5つです。

  • 固定費の削減:家賃交渉、サブリース、リース機器の見直し、光熱契約見直し
  • 変動費の見直し:仕入先の見直し、相見積、フードロス削減、ポーション最適化
  • 客単価アップ:セットメニュー、ペアリングドリンク、コース化、サイドメニュー強化
  • 回転率の向上:オペレーション設計、提供時間短縮、席設計の最適化
  • 人件費の変動費化:正社員依存から脱却し、スポット人材で需要に合わせる

人件費の変動費化が最も効く理由

5つの施策の中でもインパクトが最大なのが「人件費の変動費化」です。正社員1人を月給30万円で雇用すれば、社会保険を含めて月35万円超の固定費が発生します。

これを業務委託・スポット人材で代替すると、稼働した時間分だけのコストになり、暇な日の人件費がそのまま固定費から消えます。

とくにディナータイムのピーク2〜3時間や週末のみ需要が増える店舗では、スポット人材の活用が損益分岐点を月数十万円単位で押し下げる効果があります。

CHEFLINKのようなマッチングサービスは、必要な時に必要なスキルレベルの料理人を呼べるため、固定費圧縮の現実的な選択肢として、独立志向のシェフにこそ知っておいてほしい仕組みです。

開業前にシミュレーションすべき指標

開業前の事業計画書では、最低でも以下の指標を月次・年次で算出しておきましょう。

  • 損益分岐点売上高と損益分岐点比率
  • FL比率・FLR比率(FL+家賃)
  • 客単価×想定来店数×営業日数の売上シミュレーション
  • 人時売上高(売上÷総労働時間)と坪あたり売上
  • キャッシュフローと運転資金月数

転職を検討するシェフが「経営目線」を磨くメリット

独立して成功するシェフと失敗するシェフの差は、料理の腕よりも数値感覚で出ます。

今の職場で「今日のFL比率は?」「人時売上高は?」を自分なりに把握する習慣を持つだけでも、経営者になった時の判断スピードが段違いになります。

スポットワークで複数業態の現場を経験すれば、業態別のコスト構造の違いを肌で学べます。料理人専門のマッチングアプリを活用し、現場で経営の解像度を上げる時間こそが、独立への最短距離です。

開業準備をしながら、現場で稼ぐ。

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執筆 Dining Trends編集部

料理人の毎日に効く知識と、次の一歩を後押しするコンテンツを届ける編集チームです。調理道具のリアルなレビュー、厨房で役立つ技術や用語、海外挑戦や独立のヒントまで、現場目線でわかりやすく執筆。プロにも料理好きにもわかりやすい記事づくりを大切にしています。

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