「飲食店の採用担当になったら、何から手をつければいいんだろう…」。突然任されて戸惑う方は少なくありません。この記事では、初めて採用を任された方に向けて、業務の全体像から準備、募集、面接、労務、入社手続き、つまずきがちな失敗対策までを一本にまとめました。
飲食業界は、慢性的な人手不足に直面しています。厚生労働省のデータによれば、飲食物調理や接客・給仕の職業の有効求人倍率は常に平均を大きく上回っており、さらに帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)」では、飲食店の多くが正社員・非正社員ともに深刻な人材不足を感じていると報告されています。
このような採用難易度が高い時代だからこそ、採用担当者の体系的な知識とスピーディな対応が、店舗運営の鍵を握るのです。
採用担当の仕事は「求人を出して面接をする」だけではなく、店舗が目指す姿に必要な人材を集め、定着させることです。
採用業務は、大きく4つのフェーズに分かれます。
特別な資格は不要ですが、以下のスキルが重要です。
採用担当者が一人で抱え込むのは危険です。「どんなスキルを持つ人材が欲しいか」は現場の料理長や店長と、「人件費の予算はいくらか」は経営層としっかりすり合わせを行いましょう。
求人を出す前に「どんな人をどう受け入れるか」の足場を固めることが、ミスマッチを防ぐ第一歩です。
まずは店舗の現状を客観的に把握します。ホールとキッチンの人員構成、社員・アルバイトの比率、離職率と辞めた理由、そして採用予算を確認します。定着率が低い場合、募集の前に労働環境の見直しが必要です。
「元気な人」といった曖昧な条件ではなく、具体的なペルソナを設定します。
新人が入社した際、誰が教育担当(メンター)になるのか、初月のシフトや研修カリキュラムはどうするかを事前に設計します。「見て覚えろ」では今の時代、すぐに辞めてしまいます。
業務効率化のため、応募者の連絡先や進捗をまとめる「応募管理シート」、面接官の評価ブレを防ぐ「面接評価シート」、給与や時間を記載する「募集要項テンプレ」を準備しましょう。
準備が整ったら、ターゲットに刺さるメッセージを発信し、スムーズに選考を進めます。
求人原稿には「仕事内容」「給与」「休日」「職場の雰囲気」の4要素を具体的に記載します。「簡単な調理補助」ではなく「まずは盛り付けからお願いします」と書くことで安心感を与えられます。また、実際のスタッフや料理の写真を活用すると効果的です。Indeedなどの求人検索エンジンでも、情報の具体性がクリック率を左右します。
飲食業界の採用では、応募から面接までのスピードが命です。応募があったら可能な限り24時間以内に一次返信を行いましょう。返信テンプレートを用意しておくと迅速に対応できます。
面接では、挨拶や身だしなみ、コミュニケーション能力、希望シフトとのすり合わせを確認します。同時に、法律で禁止されているNG質問(本籍地、宗教、家族の職業、支持政党など)は絶対に行わないよう注意してください。
採用が決まったら、「明日から来てください」と口頭で済ませるのではなく、必ず労働条件通知書や雇用契約書を発行し、時給や勤務時間などの条件を書面で明示して合意を得ます。
労働トラブルを防ぐため、働く人を守る最低限のルールを理解しておくことは必須です。
法定労働時間は原則1日8時間・週40時間です。労働時間が6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は1時間の休憩が必要です。また、各都道府県が定める最低賃金を下回ってはいけません。
労働契約の期間、就業場所と業務内容、始業・終業時刻、休憩・休日、賃金の計算と支払方法、退職に関する事項などは「絶対的明示事項」として書面での明示が義務付けられています。
アルバイトの研修期間や試用期間であっても、最低賃金は順守しなければなりません。また、試用期間だからといって正当な理由なく解雇することはできず、条件が異なる場合は事前にしっかり説明する必要があります。
特定技能などの外国人スタッフを雇用する際は、「在留カード」で就労制限の有無を確認します。留学生の場合は「週28時間以内」という厳格なルールがあるためシフト管理に注意し、採用後はハローワークへの届出が必須です。
内定承諾後は、事務作業に漏れがないようチェックリストを活用して手続きを進めます。
履歴書(保管用)、署名済みの雇用契約書、給与振込先の口座情報、マイナンバー、年金手帳や雇用保険被保険者証(該当者)、源泉徴収票(前職がある場合)を忘れずに回収します。
アルバイトでも、週20時間以上の勤務で31日以上雇用の見込みがあれば雇用保険への加入が必要です。社会保険は、正社員の4分の3以上の労働時間・日数である場合や、法改正による適用拡大の要件を満たす場合に加入手続きを行います。
スタッフの個人情報は、鍵のかかるキャビネットでの施錠保管や、パスワード付きの電子データとして厳重に管理します。退職者の書類の処分ルールもあらかじめ決めておきましょう。
初めての採用活動では想定外の事態が起こります。よくある失敗とその対策を知っておきましょう。
ターゲットに対して求人内容の魅力(まかない有、柔軟なシフトなど)が伝わっていないか、掲載媒体がミスマッチしている可能性があります。原稿の見直しや媒体の変更を検討しましょう。
面接の日程調整で離脱されるケースが多いため、応募時に面接枠を事前提示する仕組みや、オンライン面接の導入で選考スピードを上げることが有効です。
応募者は他店と並行して面接を受けています。結果通知をスピーディに行うことと、面接の場で店舗の魅力をしっかりアピールし、入社意欲を高めることが重要です。
「聞いていた条件と違う」というミスマッチが主な原因です。面接でのリアルな情報開示と、入社直後の丁寧なオンボーディング(教育・フォロー体制)で定着率を高めましょう。
通常業務と並行して行う採用活動は負担が大きいため、外部サービスを賢く活用して工数を削減しましょう。
飲食業特化型の媒体、総合求人サイト、Indeedなどの検索エンジン、無料のハローワークなどを、採用予算や緊急度に応じて組み合わせる(媒体ミックス)ことで、幅広い層にリーチできます。
長期的に育成したい社員採用は自社で行い、急な欠員や専門スキル(調理師など)がすぐに必要な場合は、紹介・派遣サービスを活用して即戦力を補填するのが効率的です。
CHEFLINK(シェフリンク)は、4万人以上の食の専門人材ネットワークを持つサービスです。繁忙期のスポット利用や急な退職時の人員確保において、自社で一から採用・教育する工数を大幅に削減し、即戦力となる料理人をスピーディに手配できます。
初めての採用業務を成功させるポイントは以下の3つです。
まずは本記事のチェックリストを参考に、自店舗の現状把握からスタートしてみてください。
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