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女性マネージャー
更新日:2026/8/28

【データで見る】飲食店の人手不足を読み解く。現状・原因・現場でできる対策を徹底解説

飲食店の人手不足は、求人を出しても埋まらないという採用上の問題のみにとどまらず、ピーク時間の欠員、急な休み、専門スキルの不足、教育負担が重なり、ひいては売上機会やスタッフの定着にも影響します。

この記事では、最新の公表データとCHEFLINK独自調査をもとに、飲食店の人手不足の実態を整理。数字を眺めて終わらせず、自店の課題を切り分け、短期と中長期の施策へつなげる考え方を解説します。

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飲食店の人手不足データから見える現状

非正社員の不足感は改善しても高水準

帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査」では、2026年7月時点で、非正社員の不足を感じている飲食店の割合は57.7%でした。前年同月からは4.1ポイント低下したものの、調査対象業種のなかで最も高い水準です。改善傾向だけを見て「採用難は解消した」と判断するのは早いでしょう。

同調査の2026年4月時点では飲食店が59.1%、2026年1月時点では58.6%でした。月によって上下しながらも、飲食店ではアルバイト・パートを含む非正社員の確保が継続的な経営課題になっています。

求人市場全体が緩んだわけではない

厚生労働省の一般職業紹介状況によると、2026年6月の有効求人倍率は1.18倍、正社員有効求人倍率は1.00倍でした。新規求人は前年同月比で、宿泊業・飲食サービス業などで増加しています。求人が動いている一方で、必要な時間帯や経験を持つ人材が店舗に届くとは限りません。飲食店では「求人の数」よりも「必要な条件との適合」を見ることが大切です。

  • 57.7%:2026年7月 非正社員の不足を感じる飲食店
  • 1.18倍:2026年6月 全国の有効求人倍率
  • 40,000人超:CHEFLINKが公表していた登録人材規模。直近の公式発表では50,000人を突破

出典:帝国データバンク、厚生労働省、CHEFLINK公式発表。割合は各調査の定義・対象に基づくため、単純比較ではなく傾向把握に使用。

独自調査でわかった飲食店の人材課題

添付の「飲食店の海外展開に関する調査」では、飲食事業者など328社を対象に、人材全般の課題を複数回答で尋ねています。これは飲食店全体を推計する公的統計ではありませんが、事業者が実際にどの課題を同時に抱えているかを把握する参考データになります。

飲食店の海外展開に関する調査(2026年3月25日~2026年3月27日、回答数 328 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000186.000028141.html
課題回答数割合
慢性的な人手不足156社47.6%
採用コストが高い84社25.6%
急な欠勤への対応が難しい78社23.8%
定着率が低い77社23.5%
特定スキルを持つ人材が見つからない74社22.6%
育成・教育に時間がかかる74社22.6%
採用に時間がかかる58社17.7%
繁閑の差への対応55社16.8%

出典:回答数328、複数回答のため割合の合計は100%になりません。

最も多かったのは「慢性的な人手不足」でした。ただし、回答はそれだけではありません。採用コスト、急な欠勤、定着、スキル、教育が並んでいることから、現場の課題は採用・配置・定着・育成が連鎖する複合問題だと読み取れます。

人手不足が飲食店の経営に及ぼす影響

売上機会を逃しやすくなる

人員が足りないと、席数を制限する、予約を断る、メニューを絞る、提供時間が延びるといった形で売上機会を失います。営業しているのに売上が伸びない場合、客数ではなく「提供できるキャパシティ」を確認する必要があります。

店長や料理長に負荷が集中する

欠員を管理職や熟練者の残業で埋め続けると、休暇が取りにくくなり、判断業務や教育まで後回しになります。穴を埋めるための頑張りが、次の離職を生む構造になっていないかを見直しましょう。

教育の不足が定着を妨げる

忙しい店舗ほど新人に教える時間を確保できません。仕事の全体像がわからないまま現場に入り、質問しづらくなり、早期離職につながることがあります。教育は余裕があるときに行う付属業務ではなく、人手不足を再生産しないための運営機能です。

人件費と営業力のバランスが崩れる

高単価採用や残業だけで対応すると人件費が膨らみ、人件費を削りすぎると営業力が落ちます。見るべきは人件費の大小ではなく、売上が発生する時間帯に必要なスキルを配置できているかです。

飲食店の人手不足が長引く理由

飲食店の現場では、必要人数が1日を通して一定ではありません。ランチ、ディナー、週末、宴会、季節イベントで負荷が変わるため、在籍人数が足りていてもピーク帯だけ回らないことがあります。

さらに、調理・仕込み・洗い場・接客・発注など、業務ごとに必要な経験が異なります。「1人採用できた」ことと「店舗に必要な機能が埋まった」ことは同じではありません。人手不足データを見るときは、総人数だけでなく、時間帯・職種・熟練度・欠勤耐性まで分解して考えることが重要です。

自店の人手不足データを集めるポイント

公表統計や業界調査は、経営環境を理解するうえで役立ちます。一方、実際に改善へ動くには、自店の数字を同じ粒度で記録する必要があります。最初から複雑な人事システムを導入する必要はありません。店長が毎週確認できる簡単な表から始めるだけでも、感覚頼みの判断を減らせます。

必要人数と実働人数を分けて記録する

シフト表に名前が入っているだけでは、戦力を正確に把握できません。たとえば、研修中のスタッフ、仕込みに入れるスタッフ、ピーク帯の接客を任せられるスタッフは、それぞれ役割が異なります。時間帯ごとに「必要人数」「確定人数」「実際に稼働した人数」を記録し、欠員がどこで発生したかを確認しましょう。

採用ファネルを見える化する

応募が少ないのか、面接設定まで進まないのか、採用後に辞退されるのかで、対策は変わります。求人閲覧数、応募数、面接数、採用数、初回勤務数を段階ごとに記録すると、ボトルネックが見つかります。応募数を増やすことだけに注力しても、面接や初回勤務で離脱していれば、人手不足は解消しません。

定着を期間で確認する

採用直後は順調に見えても、数週間後にシフトから消えるケースがあります。入社後1週間、1か月、3か月などの節目で在籍と勤務状況を確認し、退職理由や困りごとを残しましょう。少人数の店舗では、1人の退職が大きな欠員になります。定着率を継続的に追うことは、採用費を守ることにもつながります。

課題別に見る飲食店の人手不足対策

同じ「人手不足」でも、原因によって優先する施策は異なります。自店のデータを、次のように課題別へ振り分けると、対策の順番を決めやすくなります。

応募が少ない場合

勤務地、勤務時間、給与、仕事内容が求職者に伝わっているかを確認します。飲食店の求人では、忙しさや未経験可否、まかない、シフトの柔軟性など、働くイメージを左右する情報も重要です。求人媒体を増やす前に、現在の求人票で「誰が、いつ、何をする仕事なのか」が明確かを見直します。

採用できても定着しない場合

採用時に伝えた内容と、実際の勤務条件に差がないかを確認します。加えて、初日の説明、制服や備品の準備、質問できる相手、最初に任せる業務を整えます。新人にいきなり全業務を任せるのではなく、達成しやすい仕事から段階的に任せるほうが、仕事を覚える安心感をつくりやすくなります。

経験者が見つからない場合

すべての業務に経験者を求めるのではなく、専門性が必要な工程を特定します。たとえば、メニューの核となる調理や品質管理は経験者が担い、盛り付け、洗い場、仕込みの一部は手順書で標準化する方法があります。採用条件を緩めるのではなく、業務の分解によって必要なスキルを適正化する考え方です。

急な欠勤が多い場合

欠勤者を責めるだけでは、代替体制は整いません。連絡方法、代替要員の候補、任せられる業務、営業時間を守るための縮小オペレーションをあらかじめ決めておきます。外部人材を利用する場合も、必要なスキルや入店時のルールを事前にまとめておけば、受け入れ側の負担を下げられます。

採用だけに頼らない店舗運営の見直し

人手不足が続くと、採用活動を強化することが最優先に見えます。しかし、採用市場の競争が激しいときほど、今いる人材が働き続けやすい設計と、少人数でも品質を守れるオペレーションが重要です。

メニューと仕込みを見直す

注文が集中するメニュー、仕込みに時間がかかるメニュー、食材ロスが多いメニューを確認します。人気メニューを残しながら工程を整理したり、仕込みの共通化を進めたりすることで、調理担当者の負荷を下げられることがあります。メニュー変更は売上や顧客満足にも関わるため、提供数、調理時間、粗利を見ながら判断しましょう。

ピーク前後の仕事を切り分ける

ピーク帯のスタッフが、発注や清掃、翌日の仕込みまで同時に抱えていると、接客や調理に集中できません。ピーク前に終わらせる仕事、ピーク後に回せる仕事、専門人材でなくても担当できる仕事を分けます。時間帯別の役割表を作るだけでも、現場の迷いを減らせます。

少人数運営の前提を共有する

人員が十分だった時期の手順をそのまま残していると、現状と合わなくなることがあります。忙しい日の優先順位、提供を止めない最低限の作業、後日に回せる作業をチームで共有します。現場が判断できる基準を持つことで、店長や料理長への確認集中も抑えられます。

外部人材を活用するときの確認事項

外部人材は、採用が決まるまでのつなぎだけでなく、繁忙期や新規出店、急な欠員に対応する選択肢です。ただし、依頼すれば自動的に現場が回るわけではありません。受け入れ前に、次の情報を整理しておきましょう。

  • 勤務日、時間、勤務地、担当ポジション
  • 任せたい業務と、任せない業務
  • 必要な経験・資格・アレルギー対応などの条件
  • 服装、持ち物、入店方法、衛生ルール
  • 当日の責任者、質問先、勤務後の報告方法

特に専門人材を依頼する場合は、料理ジャンルや担当範囲だけでなく、店舗の設備、メニュー構成、仕込み量も共有するとミスマッチを減らせます。初回利用後は、スキルだけでなく、コミュニケーション、段取り、既存スタッフとの連携も振り返り、次回の依頼条件に反映します。

経営会議で使える確認項目

人手不足を現場だけの問題にしないためには、月次や週次の会議で確認する項目を決めておくことが有効です。たとえば、次のような問いを定例化できます。

  • 最も欠員が出た曜日・時間帯はどこか
  • 欠員によって、何件の予約・注文・提供機会を失ったか
  • 採用活動のどの段階で候補者が離脱しているか
  • 新人が1人で担当できるようになるまで何日かかったか
  • 外部人材を使った場合、どの工程の負荷が下がったか
  • 店長・料理長の残業や休日出勤が増えていないか

この確認を続けると、「採用を増やすべき店舗」と「配置や業務設計を変えるべき店舗」を分けて考えられます。複数店舗を運営する企業であれば、店舗ごとの数値を並べ、成功したシフト設計や教育方法を横展開することも可能です。

データを現場の打ち手に変える方法

  1. 不足の場所を特定する
    曜日別・時間帯別の必要人数と実績を並べ、どの時間に欠員が集中するかを確認します。
  2. 業務とスキルを分解する
    料理長相当の技術が必要な仕事と、手順化できる仕事を切り分けます。採用要件の過剰設定も見つかります。
  3. 短期と中長期を分ける
    急な欠勤や繁忙日の増員は外部人材などで守り、採用・定着・教育は別の改善計画として進めます。
  4. 効果を同じ指標で追う
    応募数だけでなく、採用率、初回勤務までの日数、3か月後の定着、欠勤時の代替時間、ピーク帯の提供数を確認します。

飲食店の人手不足対策を組み合わせる

急な欠員には外部人材を活用する

当日の欠勤や繁忙日の増員は、長期採用の結果を待てません。現場経験のある外部人材を必要な日・時間だけ活用できれば、営業を止めずに既存スタッフの負荷も抑えられます。

採用導線を見直す

求人票には、給与だけでなく、担当業務、必要スキル、勤務時間の見通し、教育体制、キャリアの広がりを具体的に記載します。応募者が「自分にできる仕事か」を判断できるほど、ミスマッチを減らしやすくなります。

定着と教育を仕組みにする

初回勤務時の説明、業務チェックリスト、質問先、振り返りのタイミングを決めておきます。教える人によって内容が変わらない状態をつくると、教育担当者の負担も抑えられます。

業務を標準化して必要スキルを整理する

仕込み量、盛り付け、発注、洗い場の動線などを見直し、専門人材が担うべき仕事に集中できるようにします。省人化ツールの導入も、課題の場所を特定してから検討するのが得策です。

短期の穴埋めから採用まで「CHEFLINK」で支援

CHEFLINKは、料理人と飲食事業者をつなぐ人材・キャリア支援プラットフォームです。CHEFLINK・SHAREDINEを通じた登録料理人が50,000人を突破。スポット勤務から採用、海外採用支援まで、必要なタイミングとスキルに合わせた人材活用を支援しています。

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まとめ

飲食店の人手不足データが示すのは、単純な人数不足ではありません。非正社員の不足感が高い状態が続く一方、現場では急な欠勤、専門スキル、採用コスト、定着、教育が同時に起きています。

まずは、自店の不足を「いつ」「どの業務で」「どのスキルが」起きているかに分解しましょう。今すぐ営業を守る施策と、採用・定着・教育を立て直す施策を分けて進めることが、持続的な改善への近道です。数字は不安を増やすためではなく、打ち手の焦点を合わせるために使うものです。

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執筆

Kitchen Biz Journal 編集部

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外食・飲食業界の最新トレンドとビジネスインサイトを発信する専門メディアの編集チームです。Kitchen Biz Journalを通じて、飲食ビジネスの成長を支援します。

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