飲食店の空き物件を探す方法
独立を目指す

飲食店の空き物件を探す方法と失敗しない選定基準を解説

飲食店開業の成否は物件で7割決まると言われます。この記事では飲食店の空き物件を探す具体的な方法、居抜きとスケルトンの違い、契約前に確認すべき項目を、開業を視野に入れるシェフ目線で解説します。

飲食店物件の種類を理解する

飲食店の空き物件は、内装の状態によって大きく3種類に分類されます。それぞれメリット・デメリットが異なるため、コンセプトと予算に応じて選択する必要があります。

  • 居抜き物件:前テナントの内装・厨房設備が残った状態で引き渡される物件
  • スケルトン物件:内装も設備も撤去されたコンクリート躯体だけの物件
  • セカンドジェネレーション物件:オーナーが内装を一部リニューアルした再生物件

近年は初期投資を抑えたいシェフの独立ニーズと、退去後の店舗再生を急ぐオーナー側の利害が一致し、居抜きとセカンドジェネレーション物件が主流になっています。

ただし、居抜きは「前テナントの記憶」が地域に残ることもあり、業態を大きく変える場合はメリットが薄れる点に注意してください。

物件探しの主な方法(6ルート)

飲食店物件は、一般的な賃貸住宅ポータルでは見つかりません。情報の取りに行き方が成否を分けます。

  • 店舗専門ポータルサイト:居抜き物件.com、店舗そのままオークション、テンポスバスターズなど
  • 地元不動産屋への直接訪問:希望エリアの店舗専門業者を歩いて回る
  • 大手商業仲介会社:シービーアールイー、コリアーズ、ジョーンズラングラサールなど
  • SNSと人脈:シェフコミュニティ、Twitter(X)、Instagramでの情報交換
  • 商工会議所・地域金融機関:地元密着型の未公開物件情報
  • 居抜き専門の流通サービス:M&A的に「店ごと」譲渡される案件も増加

とくに優良物件は「市場に出る前」に決まることが多く、地元不動産屋とシェフコミュニティでの情報網を持っているかどうかが勝敗を分けます。1つのチャネルに依存せず、複数のルートを並行で動かすのが鉄則です。

居抜き物件は初期費用を抑えつつ、早期開業を実現できる選択肢
居抜き物件は初期費用を抑えつつ、早期開業を実現できる選択肢

居抜き物件のメリット・デメリット

居抜き物件の最大のメリットは初期投資の圧縮と開業までのスピードです。スケルトンと比較した場合、内装工事費を50〜70%圧縮でき、開業までの期間も2〜3ヶ月短縮できます。一方で、以下のデメリットがあります。

  • 前テナントのイメージや評判が地域に残ってしまう
  • 厨房機器の老朽化・故障リスク(リース引継ぎの場合は要注意)
  • レイアウトに自由度がなく、業態転換が難しい
  • 造作譲渡料が別途発生するケースが多い(数十万〜数百万円)

スケルトン物件のメリット・デメリット

スケルトン物件は自由設計が可能で、ブランドイメージを完全にコントロールできるのが魅力です。

とくにファインダイニングや独自世界観の喫茶店など、空間そのものが商品になる業態ではスケルトンが第一候補。

ただし、内装工事費は坪単価40〜80万円が目安となり、20坪のスケルトンを仕上げるだけで800万〜1,600万円の投資が必要になります。開業までのリードタイムも3〜6ヶ月かかるため、空家賃のリスクを織り込んだ資金計画が不可欠です。

立地選定のチェックポイント

立地調査は「数字」と「足」の両輪で行います。希望物件が見つかったら、最低でも以下のチェックを実施してください。

  • 平日・休日それぞれ、ランチ・ディナー時間帯の通行量カウント
  • 半径500m以内の競合店の業態・客単価・席数
  • 主要動線(駅、オフィス、住宅街、観光地)からの距離と視認性
  • 近隣に集客装置(商業施設、学校、病院、観光地)があるか
  • 夜の街灯・治安・女性が一人でも入りやすい雰囲気か

契約前に必ず確認すべき項目

飲食店物件の賃貸借契約は、住宅とは比べ物にならないほど条項が多く、見落としが致命傷になります。最低限、以下の項目は専門家を交えて精査してください。

  • 保証金(敷金)の金額・償却条件・返還タイミング
  • 解約予告期間(飲食店は6ヶ月予告が一般的)
  • 原状回復の範囲(スケルトン戻しか居抜き戻しか)
  • 用途制限(飲食可能か、火気使用可能か、深夜営業可能か)
  • 消防法・建築基準法への適合(排煙、避難経路、内装制限)
  • 給排水・ガス容量・電気容量の上限
  • 管理規約(ビルの場合の臭気・騒音・営業時間制限)
業態とコンセプトに合致した物件こそ、開業後の成長を支える
業態とコンセプトに合致した物件こそ、開業後の成長を支える

物件取得費用の相場

飲食店物件の取得時には、家賃の6〜10ヶ月分の保証金、1〜2ヶ月分の礼金、1ヶ月分の仲介手数料、前家賃1〜2ヶ月分が必要です。合計すると賃料の10〜15ヶ月分が初期費用として消えます。

家賃30万円の物件であれば、入居しただけで300万〜450万円が出ていく計算です。

居抜き物件では加えて造作譲渡料(数十万〜数百万円)、スケルトンでは内装工事費(坪単価40〜80万円)が乗ります。

「物件さえ見つかれば開業できる」と考えていると、想定外の出費でキャッシュが枯渇します。物件取得費は開業総予算の20〜30%を目安に組み込みましょう。

物件決定後にすぐ動くべき準備

物件契約から内装着工までのスピードが、空家賃を最小化するカギです。

契約と同時に、内装業者の相見積、保健所への事前相談、消防署への事前協議、許認可申請の準備を並行して走らせます。

とくに保健所との事前相談は、シンクの数や手洗い設備の位置で内装やり直しが発生する可能性があるため、図面確定前に必ず実施してください。

転職検討シェフが多店舗経験を積みながら物件を探す方法

物件を見る目は「どれだけ多くの店舗の現場を見たか」で決まります。

普段の自分の職場以外で、複数の業態・立地の厨房に立つ機会を意図的に作ることで、坪あたり売上の感覚や立地と業態の相性を体感的に理解できるようになります。

料理人専門のスポットワークアプリを活用すれば、現職を続けながら別業態の店舗を渡り歩き、物件選びの解像度を高められます。

物件契約は人生で何度もある決断ではないからこそ、机上の知識ではなく現場の経験で選定軸を磨くことが大切です。

開業準備をしながら、現場で稼ぐ。

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執筆 Dining Trends編集部

料理人の毎日に効く知識と、次の一歩を後押しするコンテンツを届ける編集チームです。調理道具のリアルなレビュー、厨房で役立つ技術や用語、海外挑戦や独立のヒントまで、現場目線でわかりやすく執筆。プロにも料理好きにもわかりやすい記事づくりを大切にしています。

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