人手不足が深刻化する外食業界で、特定技能制度は中核的な採用手段となっています。一方で外食業分野は新規受入れが一時停止されるなど、運用ルールが大きく動いています。
この記事では特定技能 外食業の採用フローを実務工程に沿って解き、受入れ機関の要件確認から協議会加入、選考、ビザ申請、入社後の定着支援までを一気通貫で整理します。
| 工程 | 主なアクション | 主担当 | 目安期間 |
|---|---|---|---|
| 受入れ準備 | 自社要件の確認・経営判断 | 経営/人事 | 1〜2週間 |
| 協議会加入 | 食品産業特定技能協議会への入会申請 | 人事 | 2週間〜1ヶ月 |
| 支援体制構築 | 自社支援か登録支援機関委託かを決定 | 人事/総務 | 1〜2週間 |
| 募集・選考 | 求人公開、母集団形成、面接 | 採用担当 | 1〜2ヶ月 |
| 雇用契約締結 | 同等報酬・労働条件の明示 | 人事 | 1〜2週間 |
| 在留資格申請 | 認定証明書交付申請または変更許可申請 | 行政書士/人事 | 1〜3ヶ月 |
| 入社・定着支援 | 事前ガイダンス、生活支援、定期面談 | 現場/支援担当 | 入社後継続 |
特定技能 外食業分野は、2026年4月13日以降、海外からの新規受入れに直結する「在留資格認定証明書交付申請」が交付停止となりました。
受入れ上限の五万人に到達したことを受けた措置で、すかいらーくをはじめとした大手も対応に追われています(出典:日経ビジネス https://business.nikkei.com/atcl/gen/19/00636/050100086/)。一方で、在留資格変更許可申請(国内在住者からの切替)は通常どおり審査されており、特定技能外国人の同分野内転職も継続可能と整理されています(出典:出入国在留管理庁 https://www.moj.go.jp/isa/10_00259.html)。
つまり「外食業で外国人材を採れない」のではなく、「採れる導線が国内人材中心にシフトした」という理解が正確です。採用フローを国内人材ルートに最適化し、協議会加入や支援体制を先回りで整えた企業から、限られた人材プールを獲得できる構図になっています。
新規入国が止まっている現状で、現実的に動くルートは以下の三つです。
ひとつ目は、国内在住の特定技能(外食業)経験者の転職採用です。同分野内での在留資格変更許可申請は全件が通常どおり処理されるため、即戦力獲得のスピード感が最も高いルートになります。
ふたつ目は、留学生・技能実習修了者など、すでに国内にいる人材の在留資格変更です。日本語能力試験N4以上と外食業特定技能一号技能測定試験の合格が条件となりますが、技能実習二号を良好に修了した修了者はこれらの試験が免除されます。
みっつ目は、特定技能一号から二号への移行支援です。在留期間に上限がなく家族帯同も可能な二号は、採用というより「自社人材の長期戦力化」のフェーズですが、店舗の中核を担うパートナーとして組み込めるため、結果的に新規採用負荷を下げる打ち手になります。
特定技能は2019年4月に創設された在留資格で、一定の専門性・技能を有する外国人材を受け入れる仕組みです。外食業は14の特定産業分野の一つに指定されており、調理・接客・店舗管理といった現場業務に正社員として従事できる外国人を中長期で雇用できます。
2023年の閣議決定で外食業も特定技能二号の対象となり、熟練人材であれば在留期間の更新制限がなくなり、配偶者と子の帯同も可能となりました。一号と二号の主な違いは下表のとおりです。
| 項目 | 特定技能一号 | 特定技能二号 |
|---|---|---|
| 在留期間 | 通算で最長五年(一年・六ヶ月・四ヶ月更新) | 上限なし(三年・一年・六ヶ月更新) |
| 業務範囲 | 飲食物調理、接客、店舗管理 | 上記+店舗経営に関する業務 |
| 必要な試験 | 外食業特定技能一号技能測定試験+JLPT N4以上または JFT-Basic | 外食業特定技能二号技能測定試験+JLPT N3以上 |
| 実務経験 | 不要 | 管理監督者等としての実務経験が必要 |
| 家族帯同 | 原則不可 | 配偶者と子の帯同が可能 |
食品衛生法上の営業許可を受けた飲食店において、飲食物調理(仕込み・加熱調理・盛り付け)、接客(オーダーテイク・配膳・レジ)、清掃・衛生管理、食材発注・在庫管理、メニュー開発の補助、店舗運営管理(シフト管理、スタッフ指導)など、店舗運営に関わる幅広い業務を任せられます。
一方で、風俗営業法に基づく接待を伴う店舗や性風俗関連特殊営業を営む店舗での雇用は不可、また配送業務のみへの従事も認められません。テイクアウト・デリバリー業務は調理や接客と組み合わせれば可能、というのが運用上のポイントです。
ここからが本題です。受入れ機関側がやるべき工程を、現場で迷いやすい順序で並べ替えて解説します。
まず取り組むのは、外国人を受け入れる「会社側の適格性」確認です。具体的には、食品衛生法の営業許可を取得していること、風俗営業等を営んでいないこと、過去一年以内に労働関係法令違反・行方不明者を発生させていないこと、社会保険料・税金の滞納がないことが必須要件となります。
ここで一つでも引っかかると、後段のビザ申請で確実に止まります。採用着手の初動で、自社の労務状況と過去の行政指導履歴を棚卸ししておきましょう。
外食業で特定技能外国人を受け入れる飲食店は、農林水産省が設置する「食品産業特定技能協議会」への加入が義務付けられています。最初の受入れから四ヶ月以内という従来ルールから、現在は在留資格申請前に加入手続きを完了させる運用が推奨されています。
入会はオンライン申請で行い、審査には二週間から一ヶ月程度かかります。加入完了の遅れがビザ申請のボトルネックになりやすいため、選考前のタイミングで先に動かしておくのが鉄則です。
協議会に加入していなければ在留資格の更新も認められないため、文字どおり採用フロー全体の前提条件です。
特定技能一号の外国人に対しては「一号特定技能外国人支援計画」の作成と実施が義務付けられています。事前ガイダンス、出入国時の送迎、住居確保、生活オリエンテーション、日本語学習機会の提供、相談・苦情対応など十項目にわたる支援です。
自社で支援責任者・担当者を選任し母国語対応まで整える「自社支援」か、専門事業者である「登録支援機関」に全部または一部を委託するかを早めに意思決定しましょう。
多くの飲食店は人員リソースの観点から委託を選びますが、その場合の費用相場は外国人一名あたり月額2〜3万円です。
選定で見るべきは、二十四時間のトラブル対応力と外食業界への理解度です。夜間営業のある店舗では、勤務時間外の急病・トラブル対応の品質がそのまま定着率に直結します(出典:東京ビジネスサポート協会 https://tbsa.or.jp/ssw-food-service/)。
受入れ準備が整ったら、求人活動に入ります。外国人材専門の人材紹介会社、人材マッチングプラットフォーム、登録支援機関の紹介ネットワーク、自社リファラルなど、複数チャネルを併用するのが一般的です。
選考時は技能試験合格者だけに絞らず、合格見込み層・実習修了見込み層まで視野を広げると母集団が広がります。面接では、調理・接客の実技スキルだけでなく、日本語でのコミュニケーション、長時間営業や繁忙期への適応力、価値観(食文化・宗教的配慮)への相互理解を確認しましょう。
採用が決まったら雇用契約書を取り交わします。特定技能では「日本人と同等以上の報酬額」が必須要件です。同じポジションの日本人スタッフの賃金テーブルを根拠に、賃金規程と整合する金額を設定する必要があります。
労働時間、休日、休暇、社会保険、一時帰国のための有給取得への配慮など、特定技能特有の条項も契約書に盛り込みます。週所定労働時間は三十時間以上、原則直接雇用(派遣不可)が制度上の前提です。
雇用契約締結後、出入国在留管理庁へ申請を行います。海外在住者は「在留資格認定証明書交付申請」、国内在住者は「在留資格変更許可申請」です。前述のとおり、外食業の認定証明書交付は現在停止中であり、当面は変更許可申請ルートが実質的な主導線になります。
手数料は四千円(収入印紙)で、申請書、写真、パスポート、在留カード、提出書類一覧表、所属機関に関する書類、外食業分野固有の書類を揃えます。書類不備は審査長期化の主因なので、行政書士や登録支援機関のレビューを噛ませると安全です。
採用は入社がゴールではなく、定着がゴールです。事前ガイダンス、空港送迎、住居・銀行口座・携帯電話の立ち上げ支援、生活オリエンテーション、定期面談(三ヶ月ごと)、定期届出といった支援を、属人対応ではなく仕組みに落とし込みます。
現場で使う厨房用語のマニュアル化、やさしい日本語での指示、日本語検定の受験料補助といった日常運用の工夫が、結果として離職率を大きく下げます。
特定技能 外食業の採用には、通常の人件費に加えて以下の費用が発生します。
| 費目 | 目安 | 区分 |
|---|---|---|
| 協議会入会費 | 無料が基本 | 初期 |
| 在留資格申請手数料 | 四千円(収入印紙) | 初期 |
| 行政書士依頼料 | 十〜十五万円程度 | 初期(任意) |
| 人材紹介手数料 | 年収の二〜三割 | 初期 |
| 渡航費 | 航空券実費(企業負担推奨) | 初期 |
| 月額給与 | 日本人と同等以上 | 継続 |
| 登録支援機関委託費 | 月額二〜三万円/名 | 継続 |
| 住居サポート費 | 社宅・家賃補助実費 | 継続 |
注意点として、支援に要する費用を外国人本人に負担させることは制度上禁止されています。雇用関連費・支援関連費は受入れ企業側が負担する設計が必須です(出典:Divership https://corp-japanjobschool.com/divership/tokuteiginou-restaurant-recruitment)。
特定技能を即戦力労働力と捉えるだけでは、5年で関係が終わります。特定技能二号への移行、店長・マネージャー候補としてのキャリアパス、2027年に開始予定の「育成就労制度」との接続まで見据えた採用設計こそが、結果的に採用負荷を最も下げる打ち手です。
業務指示が伝わらないことは現場ストレスの最大要因です。厨房用語・接客フレーズの社内辞書、やさしい日本語ルール、写真や図を多用したマニュアルといった環境を整えた職場は、外国人スタッフのパフォーマンスが目に見えて上がります。
2027年からの育成就労制度では、同一分野内の転籍要件が緩和される見通しです。
住居サポート、外国人スタッフ向け相談窓口、宗教的配慮(祈祷時間・食事制限)、異文化理解研修といった「選ばれる職場」要件を先回りで整備しておくことが、人材プールが流動化する近未来の競争力に直結します。
ーーー特定技能と技能実習はどう違いますか。
技能実習は国際貢献・技術移転が目的であり、原則として労働力確保の手段ではありません。特定技能は人手不足の解消を目的とし、即戦力人材としての雇用が前提です。
ーーー食品産業特定技能協議会への加入は必須ですか。
必須です。加入していない場合は在留資格の申請・更新が認められません。採用着手と同時に加入手続きに動くのが定石です。
ーーー登録支援機関への委託は必ず必要ですか。
義務ではありません。支援責任者・担当者の選任や母国語対応など自社で支援体制を整えられれば自社支援が可能です。ただし実務負担が大きく、外食業では委託が一般的です。
ーーー居酒屋やバーでも特定技能外国人を雇用できますか。
飲食サービス業に該当すれば雇用可能です。ただし接待行為(お酌・談笑相手になる等)や風俗営業に該当する業務には従事させられません。
ーーー2026年4月の新規受入れ停止はいつまで続きますか。
公式には期限の明示はなく、受入れ見込数の状況を踏まえて段階的に運用されます。当面は国内在住者の在留資格変更ルートが主軸になります。
ーーー特定技能二号への移行はどう進めますか。
外食業特定技能二号技能測定試験とJLPT N3以上の合格、管理監督者としての実務経験などが要件です。一号で採用した人材を二号に育てる前提で、入社初期からキャリアパスを共有しておくのが効果的です。
特定技能 外食業の採用フローは、「自社要件の確認 → 協議会加入 → 支援体制構築 → 募集・選考 → 雇用契約 → 在留資格申請 → 入社・定着支援」という七工程で構成されます。新規受入れ停止という制度変動の中でも、国内在住者ルートに導線を切り替え、協議会加入と支援体制を先回りで整えれば、即戦力人材の獲得余地は十分残っています。
CHEFLINK(シェフリンク)では、外食業界特化の人材マッチングを通じて、即戦力となる調理・接客人材から特定技能人材まで幅広い採用支援を提供しています。採用フローのどの工程に課題があるかが特定できれば、最短ルートでの人材獲得が可能です。まずは資料請求からご相談ください。
▼ プロの料理人をすぐに手配できるCHEFLINK(シェフリンク)
特定技能外国人の受入れには、複雑な手続きや継続的な支援が必要です。CHEFLINKでは、外食業における人材課題をトータルでサポートいたします。経験豊富な調理スタッフのご紹介も可能です。まずはお気軽にご相談ください
外食・飲食業界の最新トレンドとビジネスインサイトを発信する専門メディアの編集チームです。Kitchen Biz Journalを通じて、飲食ビジネスの成長を支援します。
免責事項
当社は、細心の注意を払って当サイトに情報を掲載しておりますが、その正確性、完全性、信頼性、特定の目的への適合性について、いかなる保証も行うものではありません。また、本サイトの情報は、あくまで一般的な参考情報として提供されるものであり、個別の状況に応じた専門的な助言に代わるものではありません。
本サイトの利用により生じたいかなる損害についても、当社は一切の責任を負いかねます。また、本サイトの内容は予告なく変更または削除されることがあります。