特定技能「外食業」での採用は、求人を出して内定を出せば終わりではありません。受入れ企業の要件確認、食品産業特定技能協議会への加入、候補者の在留資格確認、雇用契約、在留資格申請、入社後の支援まで、順序を間違えずに進める必要があります。
外食業分野では新規受入れに関する運用も変わっているため、国内転職者を含む候補者の状況を確認し、採用できるかと、いつから働けるかを分けて判断することが重要です。この記事では、現行の公式情報をもとに、採用担当者が実務で使えるフローと確認項目を整理します。
採用担当者は、以下の順番で準備すると進行状況を管理しやすくなります。ただし、候補者の在留資格によって申請ルートが分岐するため、採用活動を始める前に候補者の在留カード、在留期限、現在の業務、転職の可否を確認してください。
| 工程 | 主な対応 | 主な担当 |
|---|---|---|
| 受入れ可否の確認 | 営業形態、業務範囲、法令遵守、雇用条件を確認 | 経営・人事・労務 |
| 協議会加入の準備 | 食品産業特定技能協議会の加入要件と必要書類を確認 | 人事・総務 |
| 支援体制の決定 | 自社支援か登録支援機関への委託かを決定 | 人事・現場責任者 |
| 候補者の確認と選考 | 在留資格、試験、経験、業務適合性、転職時期を確認 | 採用担当・店舗責任者 |
| 雇用契約 | 日本人と同等以上の報酬、労働時間、休日などを明示 | 人事・候補者 |
| 在留資格の手続き | 候補者の状況に応じて認定証明書交付申請または変更許可申請 | 企業・行政書士など |
| 入社と定着支援 | 事前ガイダンス、生活支援、面談、届出、育成を実施 | 企業・登録支援機関 |
出入国在留管理庁は、2026年4月13日以降に受理した外食業分野の在留資格認定証明書交付申請について、不交付とする一時停止措置を公表しています。
海外在住者を新たに呼び寄せる場合は、通常の海外採用フローをそのまま適用できないため、最新の公式情報を確認してから採用計画を組む必要があります。
また、2026年8月10日掲載の審査状況では、申請の種類ごとに扱いが整理されています。外食業分野の特定技能1号から外食業分野内で転職する場合はすべての申請が対象とされる一方、技能実習からの変更、特定活動からの変更、その他の在留資格からの変更では、受付日などの条件が示されています。
在留期間更新許可申請は通常どおり順次審査されると案内されています。
| 候補者の状況 | 採用計画で確認すること |
|---|---|
| 外食業分野の特定技能1号で在留し、外食業内で転職 | 転職に伴う変更申請、現在の雇用状況、在留期限を確認 |
| 技能実習から変更 | 実習の職種・修了状況、対象となる申請受付時期、就労開始時期を確認 |
| 特定活動から変更 | 特定技能1号移行準備に該当するか、申請時期と在留期限を確認 |
| 留学など、上記以外の在留資格から変更 | 2026年4月13日以降の運用を確認し、原則不許可となる申請に該当しないか確認 |
| 海外在住者 | 認定証明書交付申請の受付・処理状況と、採用を進められる例外の有無を確認 |
| すでに雇用している特定技能人材 | 更新、届出、支援、2号へのキャリア設計を確認 |
参照:出入国在留管理庁「外食業分野における在留資格認定証明書交付の一時停止措置」、出入国在留管理庁「特定技能1号 外食業分野の在留諸申請の審査状況」
候補者を探す前に、受入れ企業としての適格性を確認します。採用後に要件不足が判明すると、在留資格の手続きだけでなく、候補者の入社時期や店舗のシフト計画にも影響します。
特定技能 外食業で任せられる主な業務は、飲食物調理、接客、店舗管理です。仕込み、加熱調理、盛り付け、オーダー、配膳、レジ、衛生管理、在庫管理、シフト管理など、飲食店の運営に関わる業務を組み合わせて担当してもらえます。
| ケース | 確認ポイント |
|---|---|
| レストラン、食堂、喫茶店 | 調理・接客・店舗管理が主業務か |
| テイクアウト専門店 | 店舗で調理した飲食物の提供に関する業務か |
| 配達飲食サービス | 調理・接客などと組み合わせた配送か。配送だけになっていないか |
| 学校・病院などの給食施設 | 外食業分野の対象事業に該当するか、業務実態を確認 |
| ホテル内レストラン | 調理・配膳など飲食業務に限定されているか。フロント等を兼務させない |
| 居酒屋・バー | 接待行為や風俗営業に該当する業務がないか |
店舗名や求人票の職種名だけで判断せず、実際に任せる業務を分解して確認することが重要です。判断が難しい場合は、申請前に専門家や関係行政機関へ確認してください。
外食業分野で特定技能外国人を受け入れる企業は、食品産業特定技能協議会への加入が必要です。農林水産省の案内では、在留諸申請の前に加入する運用となっています。加入状況が申請の前提になるため、候補者が決まってから始めるのではなく、受入れを検討した段階で必要書類を確認しましょう。
加入審査の期間は時期や申請状況によって変わります。検索上位ページには数週間から数か月まで幅のある説明が見られるため、固定的な日数を採用計画に置かず、農林水産省の最新案内を確認して余裕を持ったスケジュールを設定するのが安全です。
特定技能1号を受け入れる場合、事前ガイダンス、住居確保、生活オリエンテーション、日本語学習機会の提供、相談対応などの支援が必要です。企業が支援責任者・担当者を置いて実施する方法と、登録支援機関へ全部または一部を委託する方法があります。
| 選択肢 | 向いている企業 | 確認事項 |
|---|---|---|
| 自社支援 | 社内に外国人雇用の経験、対応言語、生活支援の担当者がいる | 支援項目を継続実施できるか、店舗任せにならないか |
| 登録支援機関へ委託 | 初めての受入れ、複数店舗、夜間対応や多言語対応が必要 | 外食業の経験、対応言語、面談方法、緊急時の連絡体制 |
| 一部委託 | 社内で担える支援と外部に任せたい支援が分かれている | 責任範囲、届出担当、候補者への説明主体を契約書で明確化 |
登録支援機関に委託しても、雇用主としての労務管理や、現場での教育責任までなくなるわけではありません。店長や社員が、やさしい日本語で指示する、写真付きマニュアルを使う、相談を早期に拾うといった運用を設計しておく必要があります。
採用面接では、経歴だけでなく、在留資格の状態と、勤務開始までの手続きを確認します。候補者にとっても転職は生活基盤に関わるため、許可前の就労可否や、入社予定日を曖昧にしないことが信頼形成につながります。
採用が決まったら、候補者と雇用契約を締結します。報酬は同じ業務に従事する日本人と同等以上である必要があり、賃金だけでなく、労働時間、休日、休暇、社会保険、勤務地、業務内容を明確にします。特定技能外国人にだけ不利な条件を設定したり、支援にかかる費用を本人へ転嫁したりしないよう注意してください。
1号の場合は、雇用契約の内容と整合した支援計画を作成します。事前ガイダンスでは、給与、勤務時間、業務内容、支援の内容、相談窓口、生活上の注意点を、候補者が理解できる言語で説明します。
申請の種類は、海外在住者か国内在住者かだけでなく、現在の在留資格や外食業分野での在留状況によって判断します。認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請を混同しないようにしてください。
| 申請 | 主な対象 | 注意点 |
|---|---|---|
| 在留資格認定証明書交付申請 | 海外在住者を新規に呼び寄せる場合 | 外食業分野では一時停止措置があるため、受付・交付状況を公式情報で確認 |
| 在留資格変更許可申請 | 国内在住者が特定技能へ変更する場合、転職に伴い変更する場合 | 候補者の現在の在留資格、申請受付日、外食業内転職かどうかを確認 |
| 在留期間更新許可申請 | すでに特定技能で雇用している人材が更新する場合 | 在留期限、雇用契約、支援、届出、協議会加入の状況を確認 |
申請書類には、企業に関する資料、雇用契約関係資料、候補者の本人資料、試験や修了状況を示す資料、支援計画などが含まれます。必要書類は申請区分や企業状況によって変わるため、出入国在留管理庁の最新様式を使い、提出前にチェックリストで照合してください。
重要:内定を出した日と、就労を開始できる日は同じではありません。在留資格の許可前に働けるか、現在の在留資格で何が認められているかを、候補者ごとに確認してください。採用決定から勤務開始までの期間を見込まずにシフトを組むと、店舗運営に空白が生じます。
入社後は、住居、銀行口座、携帯電話、行政手続き、通勤、職場のルールなど、仕事と生活の両面を支援します。定期面談では、給与や労働時間の問題だけでなく、店長とのコミュニケーション、業務指示の理解、体調、住環境、将来のキャリアも確認します。
定着支援は、登録支援機関だけの仕事ではありません。現場の受入れ準備が不足すると、生活面の支援が整っていても早期離職につながります。入社前に、店舗スタッフへ受入れの目的と指示方法を共有しておきましょう。
費用は、人材紹介を使うか、自社で募集するか、登録支援機関や行政書士へ委託するかによって変わります。単一の相場だけで判断せず、初期費用と継続費用に分け、本人へ負担させてはいけない費用がないかを確認してください。
| 費目 | 考え方 |
|---|---|
| 人材紹介・採用費 | 紹介会社やサービスの契約条件を確認。返金規定も確認 |
| 在留資格の申請関連費 | 申請手数料、行政書士への依頼料、書類取得費など |
| 登録支援機関の委託費 | 支援項目、対応言語、面談、緊急対応を含む範囲で比較 |
| 住居・生活立ち上げ費 | 住居確保、家具、通信、通勤などの実費を採用計画に反映 |
| 教育・定着費 | 日本語学習、研修、マニュアル整備、現場の教育時間を見積もる |
外食業分野では、2026年4月13日以降に受理した在留資格認定証明書交付申請を不交付とする一時停止措置が公表されています。申請の受付日や例外の有無によって扱いが変わるため、海外採用を進める前に出入国在留管理庁の最新情報を確認してください。
すぐ働けるとは限りません。候補者の在留資格、転職に伴う変更申請、受入れ企業の協議会加入、許可までの期間を確認する必要があります。内定日と就労開始日を分けて計画してください。
支援体制を自社で整え、必要な支援を適切に実施できる場合は、自社支援を選べます。ただし、対応言語、生活支援、相談、面談、届出などを継続できる体制が必要です。委託する場合も、現場の教育と労務管理は企業が担います。
店舗の名称ではなく、営業許可と実際の業務内容で判断します。調理、接客、店舗管理などの対象業務であれば検討できますが、接待行為や風俗営業に該当する業務は認められません。判断に迷う場合は、申請前に確認してください。
外食業は特定技能2号の対象分野です。ただし、2号には技能、日本語、管理・監督に関する要件があります。採用後に任せる業務と育成計画を整理し、将来のキャリアとして説明できるようにしておくと、定着支援にもつながります。
特定技能 外食業の採用フローは、受入れ企業の要件確認、協議会加入、支援体制の準備、候補者の在留資格確認、選考、雇用契約、在留資格申請、入社後の支援までを一つの工程として設計することが大切です。
現在は、外食業分野の新規受入れに関する運用が変わっているため、「特定技能なら採用できる」と一括りにせず、候補者の現在の在留資格と申請区分を確認してください。
国内の外食業分野で転職を希望する人材を採用する場合も、協議会加入や申請に時間がかかる可能性があります。採用可否と勤務開始時期を分けて管理し、店舗の現場教育まで含めて準備することが、採用成功と定着の近道です。
CHEFLINKは、プロの調理人材の紹介のほか外食業界の採用課題に対し、調理・接客などの人材採用を支援しています。特定技能の採用では、候補者の状況や店舗の業務内容を確認し、採用前に整理すべき論点を明確にすることが重要です。
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