ホーム > Kitchen Biz Journal > 飲食店の原価率とは。計算方法・改善のためのポイントを徹底解説
飲食店のコスト管理マネージャー
更新日:2026/10/28

飲食店の原価率とは。計算方法・改善のためのポイントを徹底解説

食材費の高騰が続くなか、売上は増えているのに利益が細る飲食店は少なくありません。カギを握るのが、食材費が売上に占める割合を示す原価率です。原価率は値付けと仕入れ、メニュー構成すべてに関わる、飲食店経営の基本指標です。

この記事では、計算方法と業態別の目安、高止まりする原因を整理したうえで、今日から実践できる改善方法を解説します。FLコストの考え方とあわせて、利益を残す原価管理の型を確認しましょう。

CHEFLINK資料の画像

必要なときだけプロの料理人を手配するなら「シェフリンク」

資料を確認する

▼あわせて読みたい関連記事

原価率は、飲食店経営を左右する基本指標

原価率とは、売上高のうち食材費やドリンクなどの材料費が占める割合です。売上から原価を差し引いた分が粗利であり、原価率が下がれば同じ売上でも手元に残る利益が増えます。

逆に、目分量の盛り付けや過剰な仕入れといった小さな漏れの積み重ねが原価率を押し上げ、気づかないうちに利益を侵食します。

値付け、仕入れ、メニュー構成のどれを変えるにも、自店の原価率という基準値が欠かせません。まずは計算方法を正しく押さえるところから始めましょう。

原価率の計算方法はメニュー別と店舗全体を使い分ける

原価率の計算は、メニューごとの管理と店舗全体の管理の両方で行います。メニュー別の原価率は、価格設定やメニューのリニューアルを判断するときに使います。

POINT

  • 原価率(%)= 食材費 ÷ 売価 × 100

例えば食材費300円のパスタを1,200円で提供する場合、「300 ÷ 1,200 × 100 = 25%」です。ここで注意したいのが歩留まりとロスの扱いです。野菜の皮や肉のスジなど使えない部分を除外したまま計算すると、実態より低く見積もってしまいます。捨てる部分まで込みで原価を算出しておくと、理論と実際のズレが起きにくくなります。

店舗全体の原価率は、月ごとの収益性を把握する指標です。仕入れた食材をすべてその月に使い切るとは限らないため、棚卸をはさむのが原則です。

  • 売上原価 = 期首棚卸高 + 当期仕入高 - 期末棚卸高
  • 原価率(%)= 売上原価 ÷ 売上高 × 100

例えば月初の在庫が100,000円、当月の仕入れが500,000円、月末の在庫が150,000円なら、売上原価は450,000円です。売上が1,500,000円であれば、原価率は30%となります。

毎月の棚卸を欠かさず、感覚ではなく数値で原価を捉えることが、利益体質づくりの入り口です。

理論原価率と実際原価率の差が、改善の入り口

原価管理では、理論原価率と実際原価率の差を見ることが重要です。

  • 理論原価率:レシピ通りに調理し、ロスがゼロだと仮定した理想的な数値
  • 実際原価率:棚卸の結果に基づいて算出した、実際の数値

この差が大きいほど、廃棄ロス、オーバーポーション、伝票漏れなど、目に見えないコスト流出が起きているサインです。まずは差を測定し、どこで食材が消えているのかを特定するところから改善を始めましょう。

差をゼロに近づけるほど、レシピどおりの利益が手元に残ります。

原価率の目安は業態と戦略で変わる

かつては「原価率30%」が理想とされてきましたが、食材価格と物流コストの高騰が続く現在、この数字だけを追いかけると品質低下と客離れを招きかねません。

飲食店ドットコムが飲食店を対象に実施した調査では、コロナ明けの経営で最も苦労したことの約60%が「円安や原材料費の高騰を背景とした原価率の調整」と回答しています。

目標と実績のどちらも「30%以上35%未満」がボリュームゾーンである半面、実績では「35%以上40%未満」も24.3%に上り、6割以上の店舗が目標より高いと感じています。

こうした状況を踏まえると、目安は業態と戦略に応じて30〜37%程度で設定し、FLコストとのバランスで判断するのが現実的です。

業態適正原価率の目安ポイント
高級レストラン35〜45%高品質な食材と高単価で勝負するため原価率は高め。付加価値で回収する
食堂・定食屋30〜35%ボリューム感を重視するためやや高め。サイドメニューで補う
居酒屋28〜33%ドリンク比率が高く、トータルで低く抑えやすい
カフェ・喫茶店25〜30%ドリンク中心で原価率は低め。客単価が低いためセット化が鍵
ラーメン店30〜35%スープや麺の原価管理と光熱費を含めたFLコスト管理が重要
焼肉店35〜40%肉の原価が高いため、仕入れと歩留まり管理が鍵
弁当・テイクアウト専門店30〜38%容器代などの追加コストを価格に反映させる

原価率だけで判断せず、粗利額とFLコストで見る

原価率は割合であり、低ければいいというものではありません。原価率20%のメニューが300円で売れる場合の粗利額は240円、原価率40%のメニューが1,500円で売れる場合の粗利額は900円です。

儲かっているのは後者です。原価率の高い看板メニューで集客し、原価率の低いドリンクやサイドで利益を稼ぐ「ミックス粗利」の発想が、現在の主流になりつつあります。

また、原価率だけでなく人件費を含めたFLコストで経営を見ることが重要です。

POINT

  • FLコスト = 原価率 + 人件費率
FLコスト判定
55%以下優秀
55〜60%適正
60〜65%要改善
65%以上危険

原価率35%でも人件費率が25%ならFLコストは60%で適正範囲です。原価率を25%に抑えても人件費率が40%かかればFLコストは65%となり、むしろ利益を圧迫しています。

原価率の改善策に入る前に、自店のFLコストを確認しておきましょう。FLコストについては飲食店のFLコストとは?人手不足を乗り越える適正比率と削減術で詳しく解説しています。

原価率が高くなる原因を特定する

原価率が目標より高くなっているとき、原因はほとんどの場合、仕入れから提供までのどこかに潜んでいます。原因を特定せずに売上だけを追っても利益は残りません。棚卸の数値とレシピを突き合わせながら、次の観点でボトルネックを探しましょう。

食材ロスと廃棄が利益を直接圧迫する

需要予測のズレによる過剰発注、保存管理の不備による期限切れ、作りすぎや調理ミスは、もっとも直接的な原因です。

1日1,000円の廃棄が続くと、年間で365,000円の利益を失う計算になります。鮮度が命の生鮮食材を扱う業態では、天候や曜日による客数の変動がそのままロスにつながります。

オーバーポーションで規定量を超えて提供している

レシピの規定量を超えて盛り付けるオーバーポーションは、「少しサービスしよう」という善意や、忙しい時間帯の目分量が引き起こします。

指定量より10%多く盛り付けていれば、単純計算で原価率も10%悪化します。味や量が日によって揺れると、顧客の信頼を損なうリスクも生じます。

仕入れ高騰に価格改定が追いついていない

円安や原材料費の高騰で、同じ食材の仕入れ値が上がっているのに、メニュー価格を据え置いていれば原価率は上昇します。

客離れを恐れて値付けを変えられない店舗は少なくありませんが、価値に見合った価格改定は、店を存続させるための正当な経営判断です。伝え方の工夫は改善方法の章で解説します。

歩留まりの悪化と棚卸のズレを見逃していないか

経験の浅いスタッフの下処理は、本来使える部分まで捨ててしまうことがあります。魚の身を多く骨に残す、野菜の皮を厚くむくといったズレは、歩留まりの悪化として原価を押し上げます。

また、棚卸の数値がどうしても合わない場合は、まかないの扱い、知人への無断サービス、オーダー入力ミスによる未会計など、運用の緩みを疑う必要があります。

原価率を改善する方法を実践する

原因が見えたら、効果の大きい施策から順に動きます。ここでは、今日から実践できる改善方法を整理します。

食材ロスの削減を運用として仕組み化する

  • 先入れ先出し(FIFO)を徹底し、期限切れの廃棄を防ぐ
  • 出数データに基づいて発注量を決め、曜日や天候による変動を織り込む
  • 期限の近い食材は、まかないやスタッフ食で計画的に消化する
  • 野菜の皮や芯、骨など端材の出汁や1品への転用を検討する
  • ロスの出やすいメニューは数量限定や期間限定で売り切る

ポーションコントロールを徹底する

すべてのメニューにレシピカードを整え、キッチンスケールの使用をルール化します。

レードルやディッシャーなど定量で盛り付けられる器具の活用と、完成写真の掲示を組み合わせると、新人でも迷わず規定量を守れます。あわせて食材ごとの歩留まり率を把握しておくと、下処理のムダも見えてきます。

ABC分析でメニュー構成を組み替える

全メニューを売上貢献度と原価率の2軸で分類するABC分析は、メニュー構成を見直すときの基本です。

分類特徴打ち手
A(売れ筋・低原価率)利益の柱看板として積極的に販促する
B(売れ筋・高原価率)売れるが利益が薄いレシピや仕入れを見直すか、値上げを検討する
C(不調・高原価率)利益に貢献しない廃止を検討し、専用食材もまとめて整理する
D(不調・低原価率)利益率は良いが売れないおすすめ表記やセット販売で育てる

とくにCランクの商品でしか使わない専用食材があるなら、メニュー廃止と同時に仕入れもやめることで、在庫リスクと廃棄ロスをまとめて減らせます。

メニューミックスと価格改定で利益を守る

すべてのメニューの原価率を下げる必要はありません。

原価率の高い看板商品で顧客満足度を高め、原価率の低いドリンクやサイドメニューを同時に注文してもらう仕組みをつくり、トータルの原価率を目標に収めます。

メニューブックでは、視線が集まる左上や中央に利益率の高い商品を置く「Zの法則」を意識し、高価格帯の商品を添える「松竹梅」の並びにすると、売りたい価格帯が選ばれやすくなります。

価格改定は、理由を正直に伝え、品質を維持するための変更であることを説明すれば、多くのお客様は受け止めてくれます。全メニューを同時に上げるのではなく、人気メニューから段階的に動かす、付け合わせを見直すといった進め方が、心理的な抵抗を和らげます。

仕入れの単価を見直す

長年同じ業者と取引していると、価格が市場相場からズレていることがあります。

  • 複数業者から相見積もりを取り、適正価格を確認する
  • 旬の食材を活かし、安くて質の高い時期に仕入れる
  • まとめ仕入れの交渉で単価を下げる
  • 産地や規格の変更、規格外野菜の活用を業者と相談する
  • 保存が効く冷凍や乾燥食材への切り替えで、ロスと価格変動のリスクを減らす

客単価を上げて原価率の分母を大きくする

原価率は売上が伸びれば相対的に下がります。

セットメニューでドリンクやサイドを促し、トッピングや追加注文の導線を整え、週末や季節の限定メニューで単価帯を引き上げましょう。割引クーポンへの依存を減らし、リピーターがつく価値提供へ切り替えることも、健全な売上構成につながります。

数字で原価を管理する仕組みをつくる

追跡するデータ確認の頻度活用方法
日次の食材使用量毎日ロスの早期発見
メニュー別の原価率月ごとABC分析とメニュー構成の見直し
曜日別の売上月ごと発注量の最適化
時間帯別の注文数月ごとシフトと仕込み量の最適化

POSレジや原価管理システムを使えば、売上データとレシピ情報から理論上の食材消費量が算出され、実際の棚卸との差が自動で見える化されます。原価管理を担当者の感覚ではなく、仕組みとして回せるかどうかが、改善を定着させる分かれ道です。

改善の効果と優先順位を数字で捉える

原価率の改善は、小さなパーセントでも金額では大きく現れます。月商300万円の店舗で原価率が1%下がれば、月に30,000円、年間で360,000円の利益が増えます。人件費を増やさずに生まれる利益として、その重みは大きいはずです。

すべてを同時に進める必要はありません。期待効果と手間から、優先順位を決めて動きましょう。

優先度施策期待効果手間
高食材ロスの削減原価率2〜5%の改善中
高ABC分析によるメニュー最適化原価率1〜3%の改善小
中仕入れ先・仕入れ方法の見直し原価率1〜3%の改善中
中レシピの標準化とポーション管理原価率1〜2%の改善大
低〜中セットや限定メニューによる客単価アップ売上経由で原価率を改善小

進め方の型はシンプルです。棚卸で実際原価率を測る、理論原価率との差を確認する、差が大きい原因を特定する、期待効果の大きい施策から動く、翌月の棚卸で効果を検証する。

この循環を月のリズムに乗せることが、原価管理を「やったほうがいい」から「回っている」へ変える近道です。

原価率と人件費をセットで最適化する

原価だけを削り続けることには限界があります。

食材の質を下げれば顧客満足度が損なわれ、客離れという形で売上に戻ってくるためです。物価高騰と人手不足が同時に進むいま、FLコストの観点から原価率と人件費率をセットで最適化する視点が欠かせません。

難しいのが人件費の構造です。正社員を多く抱えると品質は安定しますが、閑散時間帯や閑散期にも人件費が発生し続けます。アルバイト主体で運営すると、今度は急な欠勤やスキル不足による機会損失、廃棄ロスの増加が生まれやすくなります。

採用コストと教育コストが高騰した現在、自社雇用だけでこの両立を解くのは難易度が上がっています。

CHEFLINKなら必要なときだけプロの料理人を手配できる

必要なときに必要なだけ、プロの料理人を手配できるのが「CHEFLINK(シェフリンク)」です。4万人以上の食の専門人材と飲食事業者をつなぐプラットフォームとして、人手不足時代の人件費最適化を支えます。

  • 人件費を固定費から変動費へ:繁忙日や宴会シーズンだけ増員し、売上が見込める時間帯に労働力を集約できる
  • 採用コストをかけず即戦力を確保:求人広告費や面接の手間を省き、欠勤や退職のピッチにも柔軟に対応できる
  • プロの技術で原価も守る:正確なポーション管理と手際の良い下処理で、ロスと歩留まりの改善にも寄与する
  • 専門スキルのスポット活用:普段は雇えない高スキルのシェフに、仕込みや新メニュー開発を任せられる

原価率を自店の努力だけで下げるには限界があります。食材の仕入れを見直すと同時に、人件費を柔軟な変動費へ組み替えることが、FLコストを守る現実的な打ち手です。

CHEFLINK資料の画像

CHEFLINK(シェフリンク)の支払いは利用分のみ、初期費用・月額費用は一切不要

無料で問い合わせる

まとめ:原価管理は利益を残す力を鍛える営み

  • 計算方法と棚卸を正しく押さえ、現状の原価率を数値で掴む
  • 業態とFLコストに合わせた目標を置き、原価率だけで判断しない
  • 原因を特定し、期待効果の大きい施策から月のリズムで動かす
  • 感覚ではなく、レシピとデータの仕組みで原価管理を定着させる
  • 人件費の組み替えも含め、原価率とFLコストをセットで最適化する

いきなりすべてを変える必要はありません。まずは看板メニュー1品の原価を、レシピどおりに正確に計算してみてください。理論と実際の差が見えたその日から、原価管理は利益を残す力を鍛える営みになります。

Kitchen Biz Journal 編集部

外食・飲食業界の最新トレンドとビジネスインサイトを発信する専門メディアの編集チームです。Kitchen Biz Journalを通じて、飲食ビジネスの成長を支援します。

記事一覧を見る
RELATED ARTICLES 関連記事

免責事項

当社は、細心の注意を払って当サイトに情報を掲載しておりますが、その正確性、完全性、信頼性、特定の目的への適合性について、いかなる保証も行うものではありません。また、本サイトの情報は、あくまで一般的な参考情報として提供されるものであり、個別の状況に応じた専門的な助言に代わるものではありません。
本サイトの利用により生じたいかなる損害についても、当社は一切の責任を負いかねます。また、本サイトの内容は予告なく変更または削除されることがあります。