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根岸マネージャー
更新日:2026/8/13

宮古島で”働きながら暮らす”シェフたち。ワーケーション求人が拓いた、リゾート人材の新モデル

株式会社南西楽園リゾート

インタビュー対象者

シギラセブンマイルズリゾート 新規開業統括部 根岸 篤志 様

記事のポイント
・離島立地ゆえの「移住採用」の限界を、CHEFLINKの「ワーケーション求人」で打開
・「正社員代替レベルのスキル人材」を、事前に見える形で安定確保
・想定を超える数のシェフが応募。受入客数の拡大と既存社員の負担軽減を実現

新規開業が続くリゾートで、追いつかない専門人材の確保

南西楽園リゾートは、沖縄・宮古島南岸に広がる「シギラセブンマイルズリゾート」を運営しており、約140万坪の敷地内に9つのホテルと30店舗以上のレストランを展開しています。四季を通して国内外から多くのゲストが訪れる複合型リゾートです。

私は現在、新規開業統括部に所属し、新しいレストランの開業準備を統括しています。その中でも、「調理人材の採用チャネルをどう増やしていくか」が、私自身の大きなミッションの一つでした。

シギラセブンマイルズリゾート

しかし、この数年で採用環境は明確に厳しさを増しています。コロナ禍で一度リゾート業界を離れてしまった調理・サービス人材の多くが、そのまま他業種に流れてしまいました。お客様の戻りは順調な一方で、それを支える現場の人員回復は追いついていない――。そんな状況が続いています。

加えて、リゾートシティとしての開発は継続しており、常に新しい店舗のオープンが控えているため、慢性的に「もう一人料理人が欲しい」「あと数名確保できれば」という声が現場から挙がっている状況でした。既存店舗の運営を安定させながら、新規開業に必要な料理人も並行して押さえていくことが、当リゾートの人事における最大のテーマでした。

宮古島だからこその「移住採用」の難しさ

宮古島での採用が本土と決定的に異なるのは、基本的に「移住が前提となる」点です。応募者の方にとっては、生活基盤ごと移す判断が必要になるため、応募のハードルは本土の求人とは比較にならないほど高くなっていました。

特に難しさを感じていたのが、子育て世代や、40代前後の中堅キャリア層の採用です。

この層は本来、料理人として最も脂の乗った時期であり、リゾートとしてもぜひ迎えたい人材層です。しかし、家族の生活拠点を宮古島に移す判断は容易ではなく、宮古島は現実的な選択肢に入りづらい。ここ数年、その難しさを痛感してきました。

シギラセブンマイルズリゾート内のレストラン「ポルトチェルボ」

結果として、正社員比率はなかなか上がらず、現場に残っている正社員に過度な負担が集中してしまうという構造的な問題が発生していました。社員の休日は確保しないといけませんので、店舗の営業自体を休まざるを得ない日もありました。

何とかこの状況を根本から変える手立てはないかと考えていたタイミングで、CHEFLINKとの出会いがありました。

「ワーケーション求人」が突破口に

CHEFLINKとの最初の接点は、以前参加したDXイベントでの名刺交換でした。

正直に言うと、当初は「スポット求人」という枠組みそのものに対して、そこまで大きな期待を持っていたわけではありません。宮古島という立地では、単発のスポット就業に応募が集まるとは考えづらかったからです。

実際、それまでにも派遣スタッフや、いわゆるリゾートバイトの方に3ヶ月程度の期間で来ていただくという形は取っていました。ただ、事前にスキルが見えないため、正社員が担っている業務を任せられるとは限らず、結局は現場のフォローに手が回らないというジレンマがありました。

そんな中、CHEFLINKから提案いただいたのが「ワーケーション求人」というアプローチでした。単に「宮古島でシェフを募集します」ではなく、「働きながら宮古島で暮らす」「リゾートで新しい経験を積む」というコンセプトで打ち出す。これなら、離島という条件が「マイナス要素」ではなく、むしろ「応募動機」になり得ると考えられる提案でした。

期待値を超えた「見えるスキル」を持つプロたちが宮古島へ

「まず2名ほど確保できれば」と考えていましたが、期待以上の応募があり、今では5名のシェフにご活躍いただいています。

また、実際に来ていただいたシェフの方々は事前に経歴やスキルセットが明確に見えており、現場の受け入れ体制の作りやすさがこれまでとは異なりました。

「今回来ていただく方はこういう経歴で、こういうポジションが得意」ということが事前にわかることで、現場のマネージャーや料理長は、単に「一人分の労働力」としてではなく、「この方にはこのポジションを任せられそうだ」という期待値を持って迎え入れることができます。

現在は4店舗で5名のシェフの方々にご活躍いただいており、それぞれのセクションで重要なポジションを任せられるほど信頼を寄せています。特に今の5名の方に関しては、当初想定していた「補助的な戦力」というレベルをはるかに超え、現場の中核として機能していただいている実感があります。

「マラルンガ 鉄板焼」では、鉄板カウンター越しにシェフが宮古牛・県産和牛・琉球食材を目の前で焼き上げる

さらに印象的だったのは、コミュニケーション能力の高さです。各地を回りながら経験を積んでこられた方が多く、新しい現場への順応もスムーズ。着任からわずか数日で、既存スタッフとの信頼関係を築いてしまう方も少なくありませんでした。「この方に来ていただけて良かった」と現場から声が挙がってくるのは、正直、私自身にとってもうれしい誤算でした。

80名 → 100名へ。稼働日には本来のキャパシティで受け入れ可能に

導入効果として最も分かりやすかったのは、受入可能なお客様の数の変化です。

人手不足の影響で、以前は、たとえば本来100名を受け入れられる店舗でも、80名程度まで枠を絞らざるを得ない状況が発生していました。それが、CHEFLINKのシェフに稼働いただく日には、本来のキャパシティまで受け入れ枠を戻せるようになってきています。

すし屋のかつ勘(Sushi KATSUKAN)

数字面での効果以上に大きかったのは、現場のマインドの変化です。「人がいないから、これ以上は受けられない」という諦めモードから、「もう一組、受けられるかもしれない」という前向きな空気へ。既存社員も、これまで背負い込んでいた仕込みや専門技術を要する工程を任せられる時間が生まれ、本来注力すべき業務に集中できるようになってきました。

「人手が足りないから、営業日を減らす」。かつては避けられなかったこの判断を、少しずつ別の選択肢で乗り越えられるようになってきている。経営としても現場としても、大きな前進です。

想定外の効果 ─ 調理場に生まれた”フラットな共通言語”

もう一つ、導入前には想定していなかった大きな副次効果があります。それが、調理場のコミュニケーションの質の変化です。

同じ現場で長く働くメンバー同士のコミュニケーションには、積み上げてきた信頼関係ならではの良さがあります。そこにCHEFLINKで来ていただくシェフの方々が加わることで、これまでとはまた違う角度からのやり取りが生まれ始めました。

彼らは各地の現場を渡り歩いてきたプロフェッショナル。既存の組織構造から独立した立ち位置で入ってきてくれるため、「プロ同士」というフラットな関係性で対話ができます。

プロ同士だからこそ通じ合う「共通言語」があり、技術用語も、段取りの感覚も、料理へのこだわりも、多くを説明しなくても伝わる。他所の現場で得た知見も、押し付けがましくなく自然に共有されていく――。そんな空気が、調理場に流れ始めています。

単に労働力を補うだけのサービスからは生まれない価値だと感じています。既存の現場の良さを保ちながら、新しい風も取り入れられる。これは想定外の、しかし大きな効果でした。

「働きながら暮らす」を、地方リゾートの新しい人材戦略に

宮古島という地で、これまで諦めかけていた「欲しいスキルの人材確保」に、確かな手応えが生まれました。数字としての効果、現場の負担軽減、そして調理場の空気の変化、一つひとつは小さな変化かもしれませんが、確実に積み上がってきています。

さらに、実際に現場を体験していただいたシェフの方が、そのまま宮古島での就業に興味を持ってくださるケースも見え始めています。ワーケーションを入口に、より長期的なキャリアの選択肢として宮古島を捉えていただくという流れが今後さらに広がっていけばと期待しています。

同じように、地方やリゾート地で人材課題を抱える事業者様は多いはずです。そうした方々にとって、”ワーケーション求人”は現実的な選択肢になり得ると、私は確信しています。「働く場所」と「暮らす場所」を分けて考える発想ではなく、「働きながら暮らす」を一つのパッケージとして提案する。この視点の転換が、離島や地方の人材課題を解く鍵になるのではないでしょうか。

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